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DX を視野に「システム内製化」を推進、OutSystems で迅速な開発と価値提供を実現

失われた自社開発のスキルを再獲得 ローコードプラットフォームで迅速に人材を育成
老朽化したシステムを内製でリプレース 旧来の手法による外注開発との比較で約 50%コスト削減
顧客向けサービスへの活用を視野に 獲得した内製開発のスキルを顧客向けサービスにも適用
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広島銀行では重要な経営戦略のひとつである「デジタルによる事業構造改革」を実現していくにあたり「システム内製化」の推進を決断。そのためのプラットフォームとして「OutSystems」を導入した。IT 統括部内にクラウドを活用したアプリ開発、DX ビジネスへの対応、IT・デジタル人材の育成をミッションとする「C-BIZ ラボ」を設置し、メンバーによる内製でレガシーシステムの迅速なリプレースや新規アプリの開発に取り組んでいる。将来的には蓄積したローコードによるアジャイル開発のノウハウを、顧客向けサービスの領域にも展開したい意向だ。

  • デジタルトランスフォーメーション
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「DX を視野に内製化を推進するにあたって、OutSystems はわれわれの心強い武器になっています。まずは行内業務のDX に向けた開発を中心に実績を積み、将来的にはそのナレッジを顧客へ提供するサービスの企画開発にも活かして行きたいですね」

山下 泰裕 氏 株式会社広島銀行
IT 統括部 C-BIZ ラボ マネージャー
課題

変化に適応可能なデジタル活用に向けて
システム開発スキルの再獲得を決意

デジタル技術によって従来の市場環境やビジネスモデルが一変する状況は「デジタル・ディスラプション」と呼ばれる。「金融」は早くからその影響にさらされることが指摘されていた業界であり、現在多くの企業がデジタル化の潮流に対応すべく、組織や事業構造の改革に取り組んでいる。

広島県広島市に本店を置く「広島銀行」も「デジタルによる事業構造変革」を重要な経営戦略に位置付け、デジタルトランスフォーメーション(DX)へ取り組む企業のひとつだ。同行が DX を推進していくにあたりシステム面での基礎になる要素として挙げられるのが、IT インフラとしての「クラウド」の積極的な活用と、「システム内製化」に向けた人材育成、およびノウハウの蓄積である。

「日本の多くの地方金融機関は “共同化” の流れの中で、長らく外注でのシステム構築を行ってきました。共同化にはコスト削減など一定のメリットがありましたが、半面システムを企画し、作り上げ、使いこなしていくための IT スキルがそれぞれの銀行から失われてしまうという側面もありました。DX へ取り組む中でビジネスの変化に追従した新たな行内システムやお客様の利便性を高めるようなアプリケーションを迅速に作って行こうと考えたとき、空洞化してしまった IT スキルの再獲得は不可欠でした」

そう話すのは広島銀行 IT 統括部 C-BIZ ラボでマネージャーを務める山下泰裕氏だ。山下氏が所属する「C-BIZラボ」は同行において「クラウドを活用したアプリ開発等、DX ビジネスへの対応やその担い手となる IT・デジタル人材の育成」をミッションとして、2022 年 4 月に新設された IT 統括部内の専門ラインである。同行では DXビジネスへの対応、およびシステム内製化を支えるためのプラットフォームとして「OutSystems」を採用した。

「DXビジネスを企画する場合でも実際にそれがどのように作られるのか、どのように動くのかについて理解していなければ、プロダクトに魂は入りません。そのナレッジを培うためには自分たちでシステムを“内製”できる体制を持つことが、長い目で見た場合に最も有効だと思います。失われたスキルやナレッジを取り戻すのには時間がかかると思いますが、OutSystemsはその第一歩を踏み出すためのプラットフォームになると考えています」

山下 泰裕 氏 株式会社広島銀行
IT 統括部 C-BIZ ラボ マネージャー
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OutSystemsを選択した理由
  • IT / ビジネス部門間のコラボレーション
  • 制限のないフルスタックのビジュアル開発
  • コアシステムの開発
ソリューション

ローコード開発の人材を社内に育成
老朽化した行内システムの刷新に着手

システム内製化の体制を作るにあたって、広島銀行では開発環境を検討した。コーディングスキルを持ったエンジニアがいるわけではないので、自社でスクラッチ開発を行うのは現実的ではない。そこでよりビジネス側のナレッジを生かしてシステムを構築できる、ローコードプラットフォームの活用を検討したという。その際に IT パートナーである伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)から紹介を受けたのが「OutSystems」だった。

同行ではまず数名のメンバーが CTC に出向する形式で、OutSystems の使い方やプラットフォームを活用した開発プロセスについてのノウハウを習得した。特にアジャイルな開発手法や実際の業務アプリ開発に応用可能なコンポーネント作成についてのナレッジは、有用なものだったという。

約半年のトレーニングを経て、OutSystems の PoC(概念実証)を兼ねた開発プロジェクトが立ち上がる。対象に選んだのは行内で利用していた「クレジットカード申し込み管理システム」の OutSystems によるリプレースだ。

「このシステムは “Microsoft Access” で構築され、修繕をしながら 10 年以上使い続けてきたものでした。長期にわたる運用で内部はブラックボックス化し、保守コストも増大していました。以前から刷新の要望が出ており、ちょうどシステム更改のタイミングが近づいていたことがあり、難易度やシステムの規模感としても適切と思われたため OutSystems による内製でのリプレースに挑戦する決断をしました」(山下氏)

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「OutSystemsではモダンなUIやモバイル対応、外部システムとの連携機能などがプラットフォームに実装されている点を高く評価しました。またリリース管理やデータベースなどのミドルレイヤにまつわる管理作業が高度に自動化でき、運用に専任の担当者を充てる必要がない点もメリットだと感じました」

山下 泰裕 氏 株式会社広島銀行
IT 統括部 C-BIZ ラボ マネージャー
結果

短期でのリリースを実現し約 50%コスト削減
Notesによるレガシーアプリの完全移行も計画

プロジェクトでの開発は、2020 年 10 月にスタート。約 6 カ月を経て OutSystems による新たなクレジットカード申し込み管理システムは、2021 年 4 月末にリリースされた。実際に行内業務で利用するシステムを開発して感じた OutSystems 最大のメリットは、圧倒的な開発スピードとアジャイル開発プロセスとの親和性の高さだったと山下氏は言う。

「約5名のチームで開発を行いましたが、開発スピードは非常に迅速でした。アジャイルな開発プロセスと、OutSystemsとの相性も良いと感じました。開発費用については従来の開発手法で外注する場合と比較して、50%程度削減できたと試算しています」

山下 泰裕 氏 株式会社広島銀行
IT 統括部 C-BIZ ラボ マネージャー

また副次的な効果として、「システム内でブラックボックス化していた業務フローや処理のプロセスを、内製による開発作業の中で整理し解きほぐすことができたのも収穫のひとつだった」と山下氏は言う。

この成果を土台に、同行ではその後も OutSystems によるさまざまな新規アプリ開発、レガシーアプリケーションのリプレースに継続して取り組んでいる。2022年夏の時点でリリース前のものを含め、18 のアプリケーションを開発している。例えば業務で利用する「社債管理アプリ」や、アンケート機能や記事投稿機能を備えた「社内誌アプリ」などは、実際に利用するユーザーからも「以前より便利になった」「業務が効率化できた」といったフィードバックを得ているという。

さまざまなアプリケーションの開発と運用を続けていく中で、OutSystems のプラットフォームとしての安定性についても評価しているという。

「われわれが直接触るのはアプリケーションレイヤのみで操作するコンポーネントも高いレベルで抽象化されているため、開発や改善の作業において担当者のミスなどによるシステム上の不具合、いわゆる “バグ” は非常に出にくい環境だと感じます。また業務で利用するシステムには高い可用性も求められますが、OutSystems は安定して動いてくれており大きなトラブルも経験していません」(山下氏)

広島銀行では OutSystems を基盤に構築した「システム内製化」の体制を通じて、さらに多くの開発経験を積み、実績につなげていきたい考えだ

「まずは行内業務の DX に向けた開発を中心に手がけていきます。業務としてニッチでこれまで十分な予算を投じたシステム化が難しかったような部分について、OutSystems によるアジャイル開発を行いしっかりと効果を出していきたいと考えています。システムを使ってくれるユーザーがその効果を実感してくれれば、次第に自分たちが “デジタル化” の領域でどんなことを実現できるのかについて、広く認知してもらえるはずです」(山下氏)

同行では現在「HCL Notes/Domino」で運用している業務アプリの OutSystems によるリプレースにも着手している。2022 年度中に 10 アプリを移行し 2024 年3 月までに対象となる 49 アプリの移行を完了する計画だ。そして将来的には行内システムだけでなく、顧客向けに提供するサービス開発にも C-BIZ ラボの知見を生かしていくことを視野に入れているという。

「広島銀行は、金融を主軸に、地域に根ざした総合サービスを提供できる企業への変革を進めています。地域ならではのニッチなニーズにも高いアジリティで応えられる組織をOutSystemsを活用しながら作っていきたいと考えています」

山下 泰裕 氏 株式会社広島銀行
IT 統括部 C-BIZ ラボ マネージャー

OutSystems は広島銀行の DX を強力に後押しするツールとして、これからさらに本格的な活用が進められていく予定である。

「DX へ の 取 り組 み として 内 製 化 を 推 進 する 上 でOutSystems は心強い武器になっています。プラットフォームとしての OutSystems には、中長期的な視点で安定して継続的に使い続けられるものであり続けてくれることを望みます。同時にわれわれに課せられた使命でもある “先進的” なデジタル活用を実現するためにも、クラウドや AI のような先進技術をさらにシンプルに活用できるプラットフォームへ進化してくれることを期待したいですね」(山下氏)

登録商標について
Microsoft Access、またはその他のマイクロソフト製品の名称および製品名は、米国MicrosoftCorporation の米国およびその他の国における商標または登録商標です。

HCL Notes/Domino の商標およびロゴは、HCL Technologies Limited の米国およびその他の国における登録商標または商標です。

【企業情報】
株式会社広島銀行
所在地:広島県広島市中区紙屋町1-3-8
創業:1978年11月
資本金:545億7,300万円 (2023年3月31日時点)
従業員数:3,246名 (2023年3月31日時点)
URL:https://www.hirogin.co.jp/

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【企業プロフィール】
広島銀行は「ひろぎん」の通称で知られ、広島を中心に岡山・山口・愛媛を地元4県と位置付け、広く店舗を展開する。近年、重要な経営戦略のひとつに「デジタルによる事業構造の変革」を掲げており、地方銀行として地域社会との関係性に根ざすことを大前提としながら、最先端のデジタル技術を活用し、地元を中心とした法人・個人顧客の利便性向上、地域経済の活性化に向けたチャレンジを行う。