プラットフォームのランタイム

目次

  1. インフラプロバイダ
  2. ベースライン構成
  3. サポートされているスタック構成
  4. インフラの配置
  5. マルチテナントによるインフラの分離

OutSystemsプラットフォームは、組織のインフラを自動的にプロビジョニング、構成、調整し、優れたパフォーマンス、セキュリティ、信頼性を確保します。

OutSystems Platform runtime

インフラプロバイダ


Amazon Web Services(AWS)は、市場リーダーであり、最も成熟したパブリッククラウドIaaSです。AWSは、保証サービスレベル99.9%のエンタープライズレベルの可用性を備え、そして最大数のセキュリティコンプライアンス標準によって認定されたIaaSテクノロジーです。

OutSystems Cloudは、AWSで稼働しますが、ユーザーを単一のIaaSベンダーで囲い込むものではありません。OutSystemsプラットフォームの内部アーキテクチャは、IaaSレイヤーを抽象化し、IaaSベンダー間のポータビリティを実現します。

ベースライン構成


OutSystemsのスターター構成には、3つの環境があります。

複数の環境によって、本番環境にデプロイする前に、あるいはユーザーにリリースする前に、そのアプリケーションおよび統合を開発・テストすることができます。また、環境の分離により、アクセス制御が向上します。開発でのリスクも低減されます。たとえば、開発環境のデータベースでの失敗と、本番環境のデータベースでの失敗は意味が異なります。機密性の高い個人情報を扱うシナリオでは、開発およびQAチームはこの情報をテストに使用しないため、この情報は保護されます。

スターター構成の物理アーキテクチャには、以下のものが含まれます。

  • 開発、テスト、本番環境のフロントエンドサーバー: 各フロントエンドサーバーは、分離された仮想インスタンスであり、OutSystemsでモバイル/Webアプリケーションを開発、実行することに適した一連のリソースを備えています。各フロントエンドサーバーは、4GBのメモリと2つの仮想コアを備えています。
  • 管理(LifeTime)フロントエンドサーバー: 管理フロントエンドサーバーは仮想インスタンスであり、その他の環境から分離され、4GBのメモリと2つの仮想コアを備えています。
  • データベースサーバー: 各データベースサーバーは、仮想リレーショナルデータベースインスタンスであり、8GBのメモリ、2つの仮想コア、100GBのストレージ容量を備えています。
  • VPC(仮想プライベートクラウド): VPCサービスは、OutSystems環境に対して、論理的に分離されたプライベートネットワークを提供します。このサービスにより、クラウド環境でオンプレミスのシステムとIPsec VPNトンネルで通信することが可能になるため、組織はデータセンターに対するセキュアかつシームレスな拡張としてOutSystemsを活用できるようになります。

パフォーマンス要件を満たすために拡張性を追加する必要がある場合、OutSystems Cloudインフラを必要に応じて拡張することができます。

CloudインフラのベースラインはOutSystemsのエディションによって異なります。

OutSystems Basicエディションの場合:

  • 環境ごとにフロントエンド1台
  • 非本番環境で共有するデータベースサーバー1台
  • 本番環境専用のデータベースサーバー1台

OutSystems Standardエディションの場合:

  • 非本番環境ごとにフロントエンド1台
  • 非本番環境で共有するデータベースサーバー1台
  • 本番環境にフロントエンド2台
  • 本番環境専用のデータベースサーバー1台

OutSystems Enterpriseエディションの場合:

  • 非本番環境ごとにフロントエンド1台
  • 非本番環境で共有するデータベースサーバー1台
  • 本番環境にフロントエンド2台
  • 本番環境専用のデータベースサーバー1台
  • ベースラインの一部として2つのパイプラインが利用可能です。ユーザーは、必要に応じてクラウド管理コンソールを使用して2つめのパイプラインに環境をデプロイすることができます。

サポートされているスタック構成


OutSystemsは、専有的なランタイムエンジンを使用せずに、標準OSとアプリケーションサーバーにアプリケーションをデプロイします。

データベースエンジンには、OracleまたはMicrosoft SQL Serverを利用できます。OutSystemsのビジュアルクエリ機能、または既存のツールを使用することで、基盤となる機能を活用することができます。

ビジュアルモデリング機能により、基盤となるスタックを抽象化し、スタック間のポータビリティが確保されます。OutSystemsでは、以下のことが可能になります。

  • 既存の従来型のコードやライブラリをOutSystemsにデプロイし、以前に構築したロジックを容易に再利用できるようにします。
  • 従来型のコードでコンポーネントを作成し、基盤となるスタックのスコープをすべて利用します。OutSystemsは、これらのコンポーネントを自動的にカタログ化し、他の開発者が新しいアプリケーションを視覚的にアセンブルするために利用できるようにします。
  • ネイティブ言語で書かれた統合アダプタをパッケージ化し、OutSystemsにデプロイします。一度デプロイすると、カスタム統合アダプタは新しいビジュアル要素としてアプリケーションに利用できます。

この拡張性により、OutSystemsは柔軟性の高いものとなり、開発者は自らの開発スキルを活用できます。クラウドデプロイにおける複雑なカスタムコンテナに準拠せずに、クラウドにコードをデプロイすることが可能です。こうした拡張性は、OutSystemsのパブリッククラウドインフラから独自のデータセンターや他のIaaSプロバイダに移行する際にも大きなメリットとなります。このアーキテクチャは、組織を特定のクラウドやデプロイモデルに固定するものではありません。 

インフラの配置


OutSystemsをサブスクライブする際、利用するリージョンを選択します。以下のリージョンが利用可能です。

  • アジアパシフィック: シドニー、シンガポール、東京、香港、ムンバイ
  • 欧州/中東/アフリカ: アイルランド、フランクフルト、ロンドン、ケープタウン
  • 北米/南米: 米国(バージニア北部、オレゴン)、カナダ、サンパウロ

可能な場合は、アプリケーションのパフォーマンスやデータ転送を最適化するために、距離(およびレイテンシ)を低減するリージョンにOutSystemsのインスタンスを配置することを検討する必要があります。

詳細については、「OutSystems CloudのデプロイにおけるAWSリージョンの選択」をご覧ください。

さらに、法的要件を満たすために、特定のデータが特定のリージョンにあるようにリージョンを選択することができます。

マルチテナントによるインフラの分離


OutSystems Cloudでは、基礎となるAWS IaaSによってマルチテナントが提供されており、仮想マシンは論理的に他のテナントから分離されています。データベースレベルでは、マルチテナントはAmazon RDS(Amazon Relational Database Service)によって保証され、各データベースのインスタンスは論理的に分離されて運用されています。さらに、OutSystemsは、各テナントのフロントエンドおよびデータベースインスタンスがテナントに対して、排他的にVPC(仮想プライベートクラウド)を共有するようにすることで、テナントを越えたアクセスを防止します。

このVPCの分離は、リソースを拡張する際にも保持されます。OutSystemsのインフラは、需要の急増または容量の追加に対応するために、他のユーザーに影響を与えることなく拡張することができ、OutSystemsは追加リソースがユーザーのVPCの一部であることを保証します。

ユーザーのアプリケーションは分離された環境を共有していますが、同じリソースを共有していても、互いに独立してデプロイされます。新しいコンピューティングリソースが追加されると、アプリケーションポートフォリオ全体で、最適化された同じインフラを共有し、均等に拡張します。