フュージョンチームとは

フュージョンチームは集学的チームです。様々なビジネススキルや技術スキル、専門知識を持つメンバーが参加し、デジタル製品やサービスの開発・提供を加速させます

この概念はGartnerが生み出しました。目的は、コラボレーティブな開発によって部門間のサイロを解消し、特定の成果を達成するためのチームを編成して、責任と成功を共有することです。

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先進的な開発チーム: コラボレーションによる優れたアプリの高速開発
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フュージョンチームの必要性

  • ITバックログの増大
  • リードタイムが長く、アプリがリリース時に陳腐化している
  • シャドーITの増加

ビジネス機能のデジタル化ニーズ、技術者の人材不足の拡大、高度なコーディング知識やフルスタック開発者が求められるアプリケーション開発環境ともあいまって、近年これらの問題が深刻化しています。

IT部門の対応に依存するビジネスリーダーは、顧客の需要、新たな機会、ビジネス条件の変化に十分なスピードで対応することができずにいました。

こうしたリーダーの多くは、求めるソリューションがないままに競合他社に立ち向かい劣勢を強いられるか、シャドーITを活用するようになりました。

IT部門の目の行き届かないところでビジネス部門(LoB)がソリューションとなるアプリを開発すると、保守や変革の難しい、複雑で入り組んだテクノロジーエコシステムになってしまいます。また、セキュリティ、パフォーマンス、拡張性、相互運用性といった非機能要件にもリスクが生じる可能性があります。

ビジネスユーザーがシチズンデベロッパーとしてコラボレーティブな部門横断型チーム体制に直接参加できるようにすると、これらすべての課題を解決し、かつ顧客やビジネスユーザーへの高品質なデジタル製品やサービスの提供を加速・拡大させることができます。

フュージョンチームアプローチのメリット

部門横断型のフュージョンチームアプローチには次のようなメリットがあります。

  • 多様なスキルと視点を持ち寄ることで、イノベーションを推進し、アプリ開発プロセスを強化できます
  • 部門間のサイロ化やプロジェクトの長期持ち越しをなくし、ビジネス目標やビジネス成果に焦点を当てることができます
  • 現状把握段階だけでなく製品ライフサイクル全体を通じて、専門知識を活用できます
  • 将来的に発生するビジネスディスラプションビジネス機会に俊敏に対応できるようになります
  • IT部門やアプリ開発部門以外の担当者の専門知識を最大限活用し、人材の育成や人員不足の影響の緩和に役立ちます
  • デジタル製品やサービスが顧客やユーザーに提供される場である価値の創出地点と開発との距離を近づけます
  • シャドーIT、不適切なエクスペリエンス設計、技術的負債解消されます
  • 作業、意思決定、責任を共有することでソリューションの導入率が上がり、チャンピオンが増えます
  • ビジネスリーダーのデジタルイノベーション推進を支援する一方で、IT部門にビジネス中心、顧客中心という意識を強く持たせます

フュージョンチームの編成方法

フュージョンチームは、ビジネス、データサイエンス、アプリ開発、製品開発などのロールを持つチームメンバーで構成されます。各メンバーが固有の経験、知識、スキルを持ち寄ることで、コラボレーティブで包括的なアプローチによるデジタルデリバリーモデルを実現します。

このアプローチでは、戦略、開発から成果に至るまで、ソリューションライフサイクル全体がビジネス部門とIT部門の従業員間で共有されます。規模、スピード、対応力を最大限にすることができるほか、作業と結果の関連性を可視化することで作業における目的意識も高まります。

フュージョンチーム

多くの企業はフュージョンチームアプローチとアジャイルソフトウェア開発モデルを併用し、緊密かつ日常的なコラボレーション、開発サイクルの高速化、反復的・継続的な学習と改善といったアジャイルのメリットを取り入れています。

従来のアプリ開発におけるコーディング知識の必要性や習得の難易度を低減すべく、フュージョンチームの多くはメンバーにアプリケーション開発プラットフォームを支給しています。ビジュアルモデリング、自動化、AIを活用することで、コーディング経験のないビジネスユーザーや経験の浅い開発者も開発に大きく貢献できます。

Gartnerによると、フュージョンチームのリーダーの半数近く(43%)がIT部門以外に所属しているそうです。リーダーの役割は、戦略、ロードマップ、リソースの管理を行うことと、自律性とガバナンスのバランスをとることです。

フュージョンチームアプローチの課題

経営戦略の大幅な転換時の例に漏れず、フュージョンチームアプローチの導入時には課題が生じることがあります。たとえば、次のような課題です。

  • チームが組織全体の目標ではなくチームの目標のみに向け最適化される
  • ガバナンスや管理が弱い場合、不適切なデータアーキテクチャや非機能面の問題といった不要なビジネスリスクや技術リスクが生じる
  • デジタル開発の責任が技術リーダーからビジネスリーダーに移ることで、リーダーの役割が不明確になる
  • 職務経歴書の一貫性のなさやリソースの重複など、雇用に関するプラクティスに問題が生じる
  • ベストプラクティスや革新的なアイデアに関するフュージョンチーム間のコミュニケーションが最小限になる

フュージョンチームアプローチを成功へと導くベストプラクティス

こうした問題を避け、フュージョンチームの文化を作るにあたっては、次のようなベストプラクティスが推奨されます。

  • 「デジタルジャッジメント」を推進する。この用語はGartnerが生み出したもので、デジタルソリューションを開発する際のテクノロジーガバナンス、リスク、トレードオフを理解し、明確化することを意味します。ガバナンスやITの専門家から学ぶ機会を設けてビジネスチームでこのスキルを養成し、フュージョンチームのメンバー全員が既存のデータ標準や技術標準を理解できるようにします。
  • 人事部門と連携して雇用を適正化する。フュージョンチームリーダーは人事部門と連携し、職務経歴書を統一して、チーム全体で通用するものにする必要があります。
  • 経営陣の賛同を得て、ビジョンの共有を促進する。フュージョンチームはサイロを解消し、IT部門のデジタルイニシアチブを分散させます。この取り組みを成功させるには、CIOが革新的・先進的な考え方を持ち、ビジネス部門のリーダーがデジタルファーストのチームを強化・主導することが欠かせません。
  • フュージョンチーム間でコミュニケーションをとる。ベストプラクティスや革新的なソリューションのほか、テクノロジーや請負業者などのリソースを全員が共有できるよう定期的にミーティングを行い、互いに学び合う姿勢を重視します。

最適なテクノロジーによるフュージョンチームのサポート

フュージョンチームが能力を最大限発揮し、メンバー全員がデジタル製品の成功に貢献できるようにするには、開発経験を持たないメンバーをテクノロジーでサポートすることが鍵となります。

このような開発で有効なのが、ローコードテクノロジーです。

最新のGartner Magic Quadrant for LCAPによると、フュージョンチームでコンポーザブルなビジネスの創出に対するプレッシャーが、ローコードプラットフォームの導入増加を後押しする大きな要因のひとつになっているそうです。

フュージョンチーム

ローコード開発プラットフォーム分野のリーダーであるOutSystemsは、自動化、AI支援開発、ビジュアルIDEといった機能によってプロの開発者の生産性を高めるだけでなく、IT部門とビジネス部門のステークホルダーの間での視覚的なコミュニケーションとコラボレーションをサポートします。

コンポーザビリティや再利用性はOutSystemsの中核をなす概念であり、イノベーションの加速に加え、ビジネス部門とIT部門のギャップの縮小に役立ちます。また、開発チームが短期間でビジネス部門に動作するプロトタイプを提供することも可能になります。迅速にフィードバックを集めて調整を行うことで、あとから何度もやり直す必要がなくなります。

これにより、市場の変化に合わせて新しいソリューションをすばやく提供できるようになります

OutSystemsによるフュージョンチームアプローチのサポートの詳細については、ウェビナー「先進的な開発チーム: コラボレーションによる優れたアプリの高速開発」をご覧ください。

OutSystemsプラットフォームの詳細については、プラットフォームのページをご覧ください