
Improving Digital Customer Experience with Low-Code
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カスタマーエクスペリエンスとは、顧客と企業との関係性のことです。極論すると、ブランドとのインタラクションの後に残った顧客の感想や感情だといえます。今日では複数のチャネルやタッチポイントでやりとりが行われるため、そうしたやりとり全体の結果として顧客の心に残った感情ということになるでしょう。
カスタマーエクスペリエンスは、近年大きな注目を集めるようになっています。その理由は、顧客中心を心がけることで非常に大きな成果が得られると経験からわかってきたためです。
PwCのレポートによると、顧客は優れたカスタマーエクスペリエンスを得られるのならば対価を最大16%上積みしてもかまわないと考えているそうです。また、Watermark Consultingのレポートによると、カスタマーエクスペリエンスに関して米国で上位10社に入っている企業はS&Pをしのぐ業績を挙げており、CXに関する取り組みが遅れている企業の3倍以上の利益を得ているとのことです。
カスタマーエクスペリエンスは、利益のみを重視していた企業の視点を、顧客のニーズ、要望、目的に向けさせます。このシフトを実践することで、投資、製品、サービスに整合性を持たせ、当然対処すべき問題だけでなく、顧客が対価を払ってでも解決したいと考える問題にも対応できるようになります。
すると、健全な収支の維持を目指す企業にとって重要な以下の2つのメトリックに好影響が生じます。
顧客は選択肢について事前に十分な情報を得て、クリック1つでベンダーを切り替えることができます。つまり、顧客をつなぎ止めて売上を伸ばしたければ、顧客を満足させることが重要なのです。顧客を失えば収益が減るだけでなく、その損失を埋めるために他の領域に余計なコストをかける必要も生じます。実際、新規顧客の獲得には既存顧客の維持の5倍のコストがかかることが調査で明らかになっています。
優れたカスタマーエクスペリエンスは新規顧客獲得の効率も向上させます。高い満足度を得た顧客はブランドの支持者となり、高い確率で他の顧客に口コミを広げてくれます。近年は広告を信頼性が低下し、口コミを頼りに購買を決めるケースが全体の20~50%を占めるようになっています(McKinsey調べ)。そうした中、顧客による支持はマーケティングの有効性を54%向上させ、新規顧客獲得コストを大幅に削減させることがわかっています。
企業の80%以上がCXのみでの競争を想定している中、競争優位性を確保するには顧客に優れたエクスペリエンスを提供することが重要です。CXでの競争で厄介なのが、単に似たような製品やサービスを提供している企業より優れたエクスペリエンスを設計すればよいというわけではない点です。Uber、Amazon、AirBnBなど、顧客が日常的に利用する他のあらゆる企業のエクスペリエンスと(無意識にであっても)比較されてしまいます。この「影響の輪」が、顧客の期待する「優れた」エクスペリエンスを形作っているのです。
米国のカスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスの専門家であるShep Hyken氏は、次のように結論付けています。
「顧客が比較対象としているのは、もはや競合他社ではありません。これまでに受けた最高のサービスと比べているのです」
評価の高いブランドを研究すると、優れたカスタマーエクスペリエンスの実現にはいくつか重要な条件があることがわかります。では、詳しく見ていきましょう。
顧客は我慢強くありません。何でも簡単に「今すぐ」できることを期待しています。つまり、優れたカスタマーエクスペリエンスにとって大切なのは簡単で時間がかからないことです。やりとりをできるだけ簡単にして、迅速に顧客のニーズを満たしたり問題を解決したりする必要があるのです。
簡単であることの成功例が、Amazonの1-Click購入です。Amazonは顧客が最もストレスを感じる支払いプロセスを簡素化して、購入する商品を選ぶだけにしました。その結果、既存顧客のコンバージョン率が大幅に上昇し、収益を数十億ドルも増加させることに成功しました。カスタマーエクスペリエンスの向上を目指すのであれば、カスタマージャーニーで最も手間がかかる部分を特定し、顧客の手間を減らすことが大切です。
Forresterによると、顧客の95%は企業との1回のサービスのやりとりで3つ以上のチャネルを利用しているそうです。つまり、カスタマーエクスペリエンスは1つのチャネルでのやりとりで決まるのではなく、McKinseyがやりとりのクラスターと呼んでいる、複数のチャネルにわたるやりとりで決まるものなのです。そうした全体的なエクスペリエンスの結果が、顧客の満足度や再購入へとつながっていきます。一貫性が重要なのはこのためです。
McKinseyは、一貫性を保つにはカスタマーエクスペリエンスの3つの主な側面に注目すべきだとしています。
顧客は、製品やサービスに関する問題を自分自身の手で迅速に解決したいと考えています。実際、顧客の50%は製品やサービスに関する問題を自分で解決できることを重視しており、70%は企業のWebサイトにセルフサービス式アプリケーションがほしいと考えています。このため、セルフサービスを支援する機能を提供すると顧客満足度が大きく向上します。Gartnerの分析によると、デジタルCXプロジェクトのひとつとして登場したWebサービスポータルは、カスタマーエクスペリエンスに最も大きな影響を与えることができ、かつROIを簡単に改善できる要素だということです。
カスタマーエクスペリエンスに関する話の中では「満足感」という言葉が頻繁に登場します。満足感とは、企業から期待以上のサービスを受けたときに得られる「良い感情」のことです。Zapposのカスタマーサービス担当者が10時間に及ぶ通話をしたという話は、CXの満足感に関する最も有名な逸話のひとつです。
顧客からCXが段違いだと認識されているブランドが20%程度しかない今、多くの企業は差別化と顧客維持のために「満足感」の高いカスタマーサービスの提供に力を入れています。しかし、調査によると、満足感はカスタマーエクスペリエンスに一定の貢献はするものの、顧客ロイヤルティへの影響はわずかです。しかも、業務コストが20%程度増加する場合があります。そのため、対策を絞るのであれば、顧客の手間を減らすことに力を入れ、ロイヤルティを向上させ再購入を増やすほうが得策だといえます。
「顧客中心」は口で言うほど簡単ではありません。Bain and Companyの分析によると、自社が「優れたエクスペリエンス」を提供できていると考える企業が80%であるのに対し、それに同意する顧客は8%しかいません。認識に大きなギャップがあるのは明らかです。
また、CEOの80%が顧客中心の取り組みを進めていきたいと述べているにもかかわらず、Gartnerのデータによると大半の企業(B2Cの65%およびB2Bの75%)がCXトランスフォーメーションで後れを取っているそうです。CXトランスフォーメーションの実現を阻む大きな課題のひとつは、カスタマーエクスペリエンスがかつてのように1部門(多くの場合、カスタマーサービス部門)だけの問題ではなくなり、組織内のあらゆる部門に関わる問題になってきているということです。
カスタマーエクスペリエンスは感情やとらえ方に大きく左右されるため、魔法のようなものを習得しなければ向上は望めないと思う方も多いでしょう。しかし、実際には目標の実現に役立つ戦略やツールがいくつかあるのです。もちろん、魔法は必要ありません。
顧客のことをよく理解せずにCX戦略を立てるのは、目を閉じたまま車を運転するようなものです。だからこそ、「お客様の声」に代表される取り組みを行い、全チャネルについて顧客からのフィードバックやデータを計画的かつ定期的に監視・収集して、顧客のニーズを幅広く把握することが重要です。たとえば重要なブランドインタラクションの後にアンケートを送信し、コールセンター担当者とのやりとりがどの程度役立ったかを顧客に尋ねたり、1対1のインタビューを実施したり、フォーカスグループインタビューを実施したりするなどです。顧客のサイト利用状況を監視したり、サポートチームと対話して、顧客の抱える主な問題を把握したりするのもよいでしょう。そして、フィードバックやデータから得た情報をCX戦略に反映させるのです。
カスタマージャーニーのマッピングについては、「顧客の気持ちになって考える」という古い格言がすべてを表しています。自社に対する顧客の感想や感情に働きかけるには、顧客の目線で一連の出来事を考える必要があります。つまり、どのようにしてブランドを知ったか、利用の主な動機は何か、どのチャネルを利用し、何を実現しようとしているかということです。顧客を単体のやりとりで満足させるだけでは不十分です。米国の27,000人のコンシューマを対象とするMcKinseyの調査では、エンドツーエンドのカスタマージャーニーで満足度を測定するほうが、単体のやりとりで測定するより30%高い精度で顧客満足度を予測できるということが明らかになっています。
このような統計になる理由は、たとえば、モバイルアプリで銀行残高を簡単に確認できるなど、1つのチャネルで顧客に優れたエクスペリエンスを提供できたとしても、最終的な結果がどうなるかはわからないからです。同じ顧客が、取引に関する問題を見つけてコールセンターに電話したところ、問題の解決には5~10営業日かかるとそっけなく伝えられたとしたらどうでしょう。カスタマージャーニーのマッピングは全体像の把握に役立ちます。これを行うことで、どこでストレスや不満が最も多く発生しているかを知り、その解消に必要なアクションを判断することができます。
ペルソナとは、自社のサービス、製品、サイト、ブランドを同じような形で利用するユーザーをまとめた、架空の顧客グループです。しかし、顧客のペルソナを効果的に利用するには、人種や年齢のような人口統計的な区分の先を考える必要があります。「50歳の白人男性」のようなペルソナでは、その人物の行動、ニーズ、希望についての情報はほとんど得られません。オジー・オズボーンとイギリスのウイリアム王子はどちらもこのグループに該当しますが、まったく似ていません。
むしろ、ある顧客の一般的な望みや目標、最大の悩みや原動力がわかる調査を活用して、ペルソナに肉付けをすることが大切なのです(Job To Be Doneフレームワークがこのようなとき非常に役立ちます)。これによって、顧客のニーズを最大限に満たす方法についての実用的なインサイトを得て、改善が必要な領域に優先順位を付けられるようになります。
顧客は、ブランドインタラクションのタッチポイントが増えることを期待しています。中でもデジタルなタッチポイントが多く求められるようになっています。自分の身の回りにあるインターネット対応デバイスの数を考えてみればその理由がわかるでしょう。実際、デジタルプレゼンスの強化は全体的なエクスペリエンスを向上させるための鍵となります。Forresterのレポートによると、顧客向けのデジタル資産を更新した企業が、カスタマーエクスペリエンスインデックス(CX Index™)や収益を最も向上させているそうです。
しかし、オムニチャネル とは単に複数のチャネルで優れたプレゼンスを実現することではありません。シームレスな連動したエクスペリエンスを提供し、顧客がチャネル間を円滑に移動できるようにすることが大切なのです。オムニチャネルカスタマーエクスペリエンス戦略に秀でている企業は平均89%の顧客維持率を誇ります。一方、オムニチャネル戦略が弱い企業は33%に留まります。オムニチャネルに投資する企業が20%から80%へと急増しているのはこのためです(PwC調べ)。
OutSystemsは、低質なエクスペリエンスをなくすというミッションに取り組んでいます。GoogleやAmazonのように無尽蔵にリソースがあるというわけではない企業でも、高品質なデジタルオムニチャネルCXを提供できるようにすることを目指しているのです。企業が優れたデジタルカスタマーエクスペリエンスを提供するうえでOutSystemsがどのように役立つかをぜひご覧ください。また、eブック「ローコードで実現する卓越したデジタルエクスペリエンス」では、OutSystemsユーザーの成功事例をご覧いただけます。