オムニチャネルとは
‐CX戦略を変革する方法‐

オムニチャネルとは、複数のチャネルでシームレスな統合されたエクスペリエンスを顧客や見込み客に提供するというコンセプトのことです。言い換えれば、ビジネスにおいて使用する様々なチャネルを結び付け、継続的なカスタマージャーニーをサポートすることです。そうすることで、ユーザーが現在のチャネルを離れて別のチャネルに移動しても、また、オンラインのときもオフラインのときも、オムニチャネルエクスペリエンスを途切れさせずにすみます。

別の視点から見てみましょう。Instagramのフィードを見ていたとき、とても格好いいスマートフォンの広告が表示されたとします。ちょうど新しいスマートフォンの購入を検討していたので広告をクリックすると、その企業の公式Webサイトにリダイレクトされました。仕様や価格を確認し、そのスマートフォンを注文して店舗に受け取りにいくことにしました。その翌週のことです。再びInstagramアカウントを眺めていると、購入したばかりのスマートフォンの広告が表示されました。

オムニチャネル戦略では、ソーシャルメディアやWebサイト、実店舗など、バイヤージャーニーにおいて使用されるすべてのチャネルを結び付け、他のチャネルでの出来事を考慮する必要があります。今の事例では、InstagramからWebサイトおよびWebストアへの移動はオムニチャネルでしたが、WebサイトおよびWebストアから元のソーシャルメディアへの移動時にオムニチャネルが途切れてしまいました。

実のところ、こうした問題に頭を悩ませている企業は多いものです。カスタマーエクスペリエンスにおいてオムニチャネルを完全に実装している企業はわずかです。提供されているのは、一貫したオムニチャネルエクスペリエンスではなく、むしろマルチチャネルエクスペリエンスなのです。

オムニチャネルとマルチチャネルの違い

マルチチャネルとオムニチャネルでは連携のレベルが異なります。複数の物理チャネルとデジタルチャネルが登場するという点ではどちらのアプローチも同じですが、チャネル間のつながりのレベルが異なります。詳しく見ていきましょう。

マルチチャネル戦略では、Webサイト、Facebook、Instagram、実店舗などの様々なチャネルで顧客とつながり、エンゲージします。しかし、各チャネルはいずれも独立しています。高度にサイロ化しており、チャネル間の連携はほとんど、あるいはまったくありません。

一方、オムニチャネル戦略ではこれらのチャネルを一体化し、包括的な情報を顧客に提供します。まとめると、マルチチャネルではエクスペリエンスが断片的であるのに対し、オムニチャネルでは一貫したエクスペリエンスを提供できるということです。

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オムニチャネルとマルチチャネルの違い

しかし、カスタマーエクスペリエンスが競争上の重要な差別化要因であり、顧客側も複数のデジタルチャネルにわたって高品質で一貫したインタラクションを求めているにもかかわらず、オムニチャネルを導入する企業が少ないのはなぜでしょうか。これには主に2つの理由があります。

  • 拡大し続けるテクノロジーの習得や複数のコードベースの作成・管理に対応できるような、チャネルの専門スキルを持つ開発者の雇用が以前よりはるかに難しくなっている。
  • レガシーシステムのリプレースや刷新を伴うことが多いため、大規模な投資が必要となる。

それでは、CXの面でリードするUberやAmazonなどの企業との競争を予算内で可能にするためには、どのようにすればよいのでしょうか。

一貫したオムニチャネル戦略の提供

Gartnerがリリースした「Magic Quadrant for Multiexperience Development Platforms(MXDP)」は、スキルを持つ開発リソースの不足に悩む企業や、多様なデバイスに対応可能なアプリをより多く提供するというプレッシャーにさらされている企業の課題に応えるものです。

「マルチエクスペリエンス開発プラットフォーム(MXDP)」は、あまり耳慣れない言葉かもしれません。これは様々なデバイスやインタラクションモード向けに複数のタイプのアプリを作成できるテクノロジーソリューションであり、モバイル開発プラットフォームの進化版です。モバイルアプリの作成のほかに、プログレッシブWebアプリ(PWA)、対話型アプリ(音声アシスタント、チャットボット)、イマーシブアプリ、ウェアラブルアプリの開発が可能です。

Magic Quadrantのこのセグメントに入るマルチエクスペリエンスプラットフォームの多くはローコード開発をサポートしており、従来のコーディングではなくビジュアルツールを使用して開発を行うことができます。ローコードアプローチを採用すると、各デバイス専門の開発者の雇用に予算をすべて注ぎ込む必要がなくなります。強力なマルチエクスペリエンスプラットフォームとローコードテクノロジーを組み合わせることで、顧客ニーズに合うモバイルアプリを、既存のチームで必要に応じていつでも作成できるようになります。

MXDPはオムニチャネルソリューションではありません。MXDPの主な強みは、様々なデバイス向けのアプリケーションを作成してデジタルユーザージャーニーに対応できることです。ただ、MXDPでオムニチャネル戦略の作成をサポートすることは可能です。

たとえばOutSystemsを使用すると、どのような企業であっても、大規模で専門性が高く、報酬のかさむ開発チームを雇用することなく、優れたオムニチャネルカスタマーエクスペリエンスを提供することができます。これを支えるのが以下の機能です。

  • Experience Builderによるネイティブに近いモバイルアプリケーションの作成: 魅力的でシームレスなモバイルエクスペリエンスの作成に伴う複雑さを抽象化するこの機能があることで、開発者が最重要課題である優れたユーザーエクスペリエンスの開発に力を注げるようになります。完全なカスタマイズが可能なアプリケーションフローや画面テンプレートをはじめとする使いやすいWebインターフェイスと開発アクセラレータを駆使して、顧客が求める品質基準を満たすエクスペリエンスを高速開発することができます。
  • リアクティブWebテクノロジー: リアクティブWebアプリは、高機能でインタラクティブなインターフェイスと最新のテクノロジースタックを備えた、モバイルとWebで一貫性のある魅力的なエクスペリエンスの提供を可能にします。このテクノロジーを使用すると、複数のチャネルで再利用可能な最先端のUI構成要素を使用してインターフェイスを簡単に構成し、CXのベストプラクティスを反映させることができるため、開発スピードとエクスペリエンスの品質が向上します。単一の言語とコードベースで作業できるため生産性が向上し、顧客ニーズへのすばやい対応とコスト削減が可能になります。
  • プログレッシブWebアプリ(PWA): PWAは、顧客や従業員に新たなチャネルでエンゲージするうえで役立ちます。検索性が高く、デプロイやアプリストアからのダウンロードが不要であるため、導入の障壁を取り除くことができるのです。このアプリはOutSystemsプラットフォームで自動的にパッケージ化され、高性能でオフライン使用やデバイスとの連携が可能なネイティブ風のエクスペリエンスを提供します。OutSystemsで指定するだけでアプリケーションがPWAとしてパッケージ化されるのです。エクスペリエンスの品質が低下することもありません。
  • 対話型エクスペリエンス: OutSystemsには、一般的なチャットボットや音声によるインタラクションパターンの作成に必要な構成要素とフレームワークがそろっているため、こうしたインターフェイスを簡単かつ確実に作成することができます。顧客窓口対応の自動化、社内サポートボット、その他の対話型ユースケースの導入、テスト、拡張を、専門のAI開発者を雇うことなくすばやく簡単に行うことが可能です。

長期的に見ると、成功するのはオムニチャネルエクスペリエンスの提供や、あらゆる顧客の把握に優れた企業です。GartnerのMagic Quadrant for Multiexperience Development Platformsは、オムニチャネル戦略の計画を始めるきっかけとして最適です。こちらのページで、主要なプラットフォームの比較や自社のオムニチャネルの目標実現に最適なプラットフォームの選び方をご確認ください。デジタルカスタマーエクスペリエンスの変革にあたりOutSystemsが支援できる内容については、OutSystemsのCXに関するページをご覧ください。