より高速かつアジャイルな開発でデジタルトランスフォーメーションを推進、エンジニアの生産性向上に欠かせない強力な武器となるOutSystems
物流/運送
アプリの刷新
カスタマーエクスペリエンスの向上
SAPの拡張
業務効率の向上
Webアプリ/ポータル
アジア太平洋
海運を中心に総合物流企業としてグローバルにビジネスを展開する日本郵船株式会社は、全社を挙げてDXを強力に推し進めており、スピード感を持って業務改善につながる環境を構築する必要があった。その実現に向けて、OutSystemsを採用し、現場の開発者が高機能なアプリケーションを高速に開発する体制を整備。OutSystemsを活用し、開発工数を最大50%短縮し、40名の開発者が5つの事業部門で30のミッションクリティカルなアプリケーションを開発した。
50%
開発工数の最大短縮30個
ミッションクリティカルなアプリの開発40名
内製開発チームOutSystemsの詳細
課題
DX推進を阻む課題への打開策
1885年の創業以来、総合物流企業として活動の幅を広げている日本郵船株式会社。世界有数の海運会社としてグローバルにビジネスを展開しており、ライナー&ロジスティクス事業による国際的物流ネットワーク網、自動車専用船による大規模な自動車輸送、鉄鉱石や穀物などを扱うドライバルク事業、原油やLNGを中心としたエネルギー事業を柱とした輸送サービスの展開により、世界産業インフラと人々の暮らしを支え続けてきた。
現在は中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を推進しており、各事業における機会とリスクを踏まえた事業戦略の方向性(両利きの経営:AXおよび事業変革:BX)を定めるとともに、人的資本のさらなる充実・グループ経営の変革・ガバナンスの強化(CX)、デジタル基盤の整備推進(DX)などのコーポレート基盤の強化に加え、脱炭素に向けた取組みの加速(EX)を推進している。そんなグループにおけるDX推進を担っているのがDX推進グループだ。
「私たちのミッションは、データとITを活用して業務変革を起こすことです。現場の課題発掘を行う「DXキャラバン」、ツールの活用理解を深める「寺子屋」、エンジニア伴走型のセルフ開発支援を行う「データラボ」をはじめ、様々な施策をシームレスに組み合わせることで、現場主導のDXを推進しています」
池末 英明 氏 日本郵船株式会社DX推進グループ スマートワークチーム チーム長
日本郵船では、従来の開発手法ではスピードやシステム連携の面で限界が見え始めていた。これまで、基本的には他社のローコード開発プラットフォームを活用し、より高度なものはスクラッチで自社開発していたが、DXを強力に推進するには、高機能かつスピード感のあるアプリケーション開発基盤が必要だった。「社内の業務に閉じた環境であれば従来のローコードプラットフォームでも十分ですが、社内にある他の業務システムや社外との連携などを考えると、物足りない部分がありました」と田中氏は当時を振り返る。
「高度な連携だけでなく、業務部門やIT部門が一体となって改善活動につなげていける基盤が求められていました。その意味でも、汎用的に活用できるローコード開発のプラットフォームが必要でした」
田中 鉄也 氏 日本郵船株式会社DX推進グループ スマートワークチーム
ソリューション
高度な開発プラットフォームでアプリケーションの展開を加速
2020年以降からクラウド移行を前提にデジタル基盤づくりを進めており、新たな開発プラットフォーム選びにおいてもグループのセキュリティやガバナンス要件を満たしたものが必要不可欠だった。そこで注目したのが、船員向け電子通貨プラットフォーム「MarCoPay」を運営するグループ会社でのOutSystems導入の成功事例だ。グループでの実績を受け、OutSystemsでの開発実現性を検証する社内でのトライアルを経て、OutSystemsは日本郵船の開発ニーズに非常に適していると判断。
「私が入社したタイミングではJavaでのスクラッチ開発の研修を受けましたが、実際に配属された部署ではOutSystemsを使うことに。実際に触ってみるとGUIが分かりやすく、十分使っていけそうだという実感がありました」
稲田 大我 氏 株式会社 NYK Business Systems
DXソリューション開発部
DXソリューション開発部
結果として、高度な開発が可能なスキルを持つエンジニアを支援するソリューションとして、DX推進グループで要件をヒアリングして開発し、クイックにリリースできるOutSystemsが最適だった。
結果
デジタル基盤のモダナイゼーションを加速する開発効率の強化
現在は、株式会社 NYK Business Systems (以下、NBS)に在籍するメンバー40名ほどがOutSystemsを利用してアプリ開発を行っており、全体では約30のアプリが運用されている。また開発スピード向上のために、共通部品化されたアプリが20ほどあり、開発の効率化に向けた環境整備を進めている。こうした取り組みは、OutSystemsのテクニカルサクセスマネージャーによる継続的な支援に支えられており、OutSystems導入から活用までが円滑に進められた。実際にOutSystemsで作成されたアプリケーションを利用するのは、グループ5社あわせて1,500名を超えており、従来はメールやExcelを利用して共有していた船舶に関する情報をグループ外の企業と共有するためのアプリなども存在している。
当初手掛けたのが、貨物船の引き合い情報を管理する仕組みで、これまではJavaでスクラッチ開発されたシステムとローコードで開発されたアプリを組み合わせて構築されていたものを、OutSystemsアプリケーションに置き換えることからスタート。貨物をいつどのくらい積んで欲しいという顧客のニーズから実際に返答した情報も含め管理するアプリを作成し、Javaによるスクラッチ開発と比べて全工程で3割減を達成。「開発部分だけでいえば、おそらく4~5割ほどの工数削減が可能になりました」と稲田氏は評価する。
また基幹システムのSAP S/4HANAへの刷新に合わせて、権限管理されたワークフローを経由してマスター連携しながら会計伝票を投入するための仕組みをOutSystemsで開発し、SAP S/4HANAに伝票データを投入している。「SAP S/4HANAへの直接入力だと大きなコスト負担になりますし、コア機能をカスタマイズせずに拡張性や保守性を高める“クリーンコア”の考え方からも、自社に適した環境を外部で用意するというアプローチにOutSystemsは適しています」と田中氏。具体的には、従来運用を大きく変更しないよう、SAP S/4HANAにデータ投入するフロントアプリに近しい画面をOutSystemsで開発し、検証可能な項目に絞ってデータ投入し、事前チェックを行ったうえでSAP S/4HANAに登録できるよう連携している。
「これまでは権限管理や画面周りの変更が難しい部分がありましたが、OutSystemsによって柔軟に変更できるようになりました」
田中 鉄也 氏 日本郵船株式会社DX推進グループ スマートワークチーム
割と経験の浅い人でも開発できるため、人材確保という視点でもOutSystemsは魅力的だという。「入社時に受けた3か月間にわたるJava研修でアプリ開発できると仮定すると、OutSystemsであれば独学ながら1か月ほどで実際のアプリ作成が可能でした。人的リソースを確保する意味でもありがたい」と稲田氏。
OutSystemsの導入は、開発スピードが大幅に向上し、見た目が統一できることでUXの観点からも使い勝手が高まるなど、メリットが大きいという。「何か起きたとしても迅速に修正が可能で、従来に比べて安心感が得られていることは間違いない」と池末氏は評価する。稲田氏は「モックがすぐに作成できるため、要件定義の段階からユーザーと同じ目線で会話できるなど、開発しやすい」と評価する。
「OutSystemsのアプリが増えることでDBの持ち方も統一していけますし、部品の共通化も含めて使えば使うほど生産性があがっていきます。複雑なワークフローや外部システムとの連携が要件になれば、解決策としてOutSystemsが選択しやすいなど、大きな武器としての土台が出来上がりました」
田中 鉄也 氏 日本郵船株式会社DX推進グループ スマートワークチーム
今後については、現状の仕組みを置き換えていく手段の1つとして引き続きOutSystemsに期待を寄せており、直近では契約書の保管管理アプリを整備したうえで、最終的には契約に関する相談から締結、保管までを含めた契約書関連のライフサイクル全般を管理する仕組みをOutSystemsで整備したいという。
開発者の育成についても、NBS内でOutSystemsの認知度を高めていきながら、開発環境の強化をさらに進めていきたいという。「今後はOutSystemsが提供するAI機能にも注視していきたい」(稲田氏)。
また、OutSystemsから、海外事例も含めて同社の現場改善につながるアイデアが得られる点を高く評価する。「グローバルに事業展開していることもあり、海外企業の動向は注視しています。海外の情報が得られる点は他社とは違うところ。事例があれば社内に対しても説明しやすいなど、我々が欲しい情報が手に入りやすいこともメリットの1つ」と田中氏。
グローバル展開についても海外事業体からDXに関する要望が出てきた際にはOutSystemsの活用を検討していく。「すでにシンガポールではトライアルを検討していますが、NBSの拠点がある米国や欧州にも相談が寄せられた段階でOutSystemsの展開を検討していくことになるはず」と池末氏に今後について語っていただいた。
【企業情報】
日本郵船株式会社
所在地:東京都千代田区丸の内二丁目3番2号
設立:1885年9月29日
資本金:1,443億1,983万3,730円(2025年5月30日現在)
従業員数:単体1,336名、連結35,230名(2025年3月31日現在)
世界経済の大動脈となる海運業を中核に、グローバルな総合物流企業として世界350以上の港を結ぶグローバルなネットワークを展開。定期船事業をはじめ、物流事業や自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業、不動産事業など多岐にわたる事業を展開しており、脱炭素社会実現に向けたLNG供給事業やアンモニア・水素事業、輸送技術を応用した洋上風力事業、自律運航船開発やロケットの洋上回収プロジェクトなど、新たな分野への積極的な投資を進めるなど市場を強力にけん引している。
日本郵船株式会社について
- 東京都千代田区、日本
- 単体1,336名、連結35,230名
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戦略的目標
- アジャイル文化と大規模開発
- レガシーモダナイゼーション
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アプリケーション種別
- 効率性
- 拡張性
OutSystemsの詳細