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実験的な未来店舗ラボを設置したスーパーマーケット大手Jerónimo Martins

4,100 店舗をポーランド、ポルトガル、コロンビアに展開
7 人で未来店舗ラボのスクラムチームを編成
8 つのシステムを反復的なライブ実験で連携
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世界第7位の大手ディスカウントスーパーマーケットグループであるJerónimo Martinsは、新しいテクノロジーで将来の消費者のショッピングエクスペリエンスをどう変革できるかを調査する必要に迫られていました。

そこでOutSystemsの上級パートナーであるTruewindと協力し、OutSystemsのアプリケーション開発プラットフォームを使用して、ポルトガルのノバ経済経営学院に未来店舗ラボを設置しました。「Pingo Doce&Go Nova」と呼ばれるこのライブ実験は現在も続いています。Jerónimo Martinsが未来志向の消費者エクスペリエンスをテストして継続的に改善できるよう、隔週でアップデートされているのです。

  • カスタマーエクスペリエンスの向上
  • モバイルアプリケーション
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「急速に進化するテクノロジーを活用して何ができるかを、自由に実験して調べたいと思いました。最終的には、未来の小売エクスペリエンスを設計したいと考えています」

André Ribeiro de Faria氏 Jerónimo Martins CMO
課題

スーパーマーケットでのショッピングは将来どうなるか

Jerónimo Martins(「JM」)は、ポーランド、ポルトガル、コロンビアに4,100以上のスーパーマーケット店舗を展開する、世界第50位の大手食品小売業者です。グループの収益は180億ユーロを超え、115,000人以上の従業員が働いています。

JMの最高マーケティング責任者であるAndré Ribeiro de Faria氏が言うとおり、競争の激しいスーパーマーケット分野では、お客様が神様です。「毎日がゼロからのスタートです。銀行や公益事業者を変更するのは手間ですが、通うスーパーマーケットを変えても面倒や不便は生じないため、顧客ロイヤルティを当然視することはできません」。

こうした市場の現実から、スーパーマーケットは絶えず顧客の望む利便性、選択肢、品質を提供する必要に迫られています。さらにJMでは、将来を見据えることも重視していました。

「お客様中心のイノベーションを行う際は、スーパーアジャイルを心がける必要があります。OutSystemsを使用することで、お客様に優れたデジタルエクスペリエンスを楽しんでいただきながら、多数のシステムを効率的に連携し、一定のペースでイテレーションを行うことができました」

Rui Tomás氏 Jerónimo Martins ITグローバルイノベーションディレクター

「急速に進化するテクノロジーを活用して何ができるかを、自由に実験して調べたいと思いました。最終的には、未来の小売エクスペリエンスを設計したいと考えています」とRibeiro de Faria氏は説明します。Jerónimo Martinsは、コアビジネスを中断することなく実験を進めるための安全な手段としてラボを必要としていました。しかし、様々なカスタマーエクスペリエンスに対する消費者の反応や好みをテストすることがこの研究の主な目的であるため、消費者に参加してもらうことが必須でした。

そんな中、「Pingo Doce & Go Nova」の理想的な設置場所として挙げられたのが大学でした。JMは、以下のような理由からポルトガルのノバ経済経営学院を選択しました。

  • Z世代消費者の大規模コホートに接することができる
  • 大学はカリキュラムを通じてテクノロジーに重点を置いている
  • JMのリスボン本社に近い
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Jerónimo MartinsがOutSystemsを選択した理由:
  • 強力な連携
  • 顧客向けアプリの開発
  • 継続的デリバリーの実現
ソリューション

未来のラボスーパーマーケットの構築

Jerónimo Martinsは、この研究を長期的に継続したいと考えていました。 JMのITグローバルイノベーションディレクターであるRui Tomás氏は次のように説明します。「ラボ店舗の目的は、イテレーションと実験を続けられるよう、小売で長期的な成功を収めることです。十分な数のお客様で仮説をテストし続けるためには、お客様に継続的に足を運んでもらう必要があります」。

この多面的な実験の内容は以下のとおりです。

  • コンピュータービジョン、NFC(近距離無線通信)、AI、そして消費者および店舗スタッフ向けのモバイルアプリなど、複数のテクノロジーをテストする
  • 新しいエクスペリエンス、製品、テクノロジーに対する消費者の反応を調査する
  • 効率やカスタマーエクスペリエンスの向上につながるようなプロセスの改善やイノベーションを検討する

ビジョン

当初から顧客中心だったこのプロジェクトは、次のビジョンを掲げていました。
1分以内に購入できるように利便性を高め、24時間販売に対応すること。

このビジョンを掲げたのは、講義の終了からわずか数分で次の講義に向かわなければならず時間に追われる学生や教職員が、気軽に買い物をできるようにするためです。そのため、ショッピング時間を最小限に抑えてレジ待ちをなくすことが、エクスペリエンスデザインの重要な側面でした。

また、この大学は寄宿制だったために営業終了後にちょっとした買い物をしたいという需要も多く、新しいセルフサービス小売キャビネットをテストするには理想的な環境でした。

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JMは、システム面では実用的なアプローチを採用することにしました。顧客向けのシステム以外は極力現行のものを流用することにしたのです。つまり、ロジスティクス、サプライチェーン、財務、人事の各システムはそのままにしておく必要があります。

相互接続が必要なレガシーシステムが8つもあったため、連携が大きな懸念事項となりました。さらに、サードパーティのハードウェア(NFC、IoTデバイス、デジタルカメラなど)との連携も迅速に開発・調整する必要がありました。そのうえ、実験的なラボであることから、突然様々なデバイスに変更を加える必要が何度も生じるだろうと想定されます。

JMは、過去2つのビジネスソリューションにOutSystemsを使用した経験から、連携に必要な俊敏性と、コンシューマ向けモバイルアプリの継続的な反復型開発の両方を実現するうえでOutSystemsが役立つことを理解していました。

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Partner

Truewind

Truewind is a leading consultant in the management of agile software solutions addressing the business challenges of its customers. Operating in sectors as diverse as Health, Insurance and...

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成果

実験から長期的な成功へ

OutSystemsの上級パートナーであるTruewindと協力しながら、Jerónimo Martinsは連携の密な専任プロジェクトチームを編成しました。このアプローチについて、Ribeiro de Faria氏は次のように述べています。「チームメンバーには、これまで当社が確立してきたやり方に縛られることなく、白紙の状態から取り組んでほしいと強く望んでいました。5人のうち4人は、当社の管理職研修プログラムを修了したばかりの30歳未満の社員でした」。

スクラムチームの編成は、以下のとおりです。

  • 開発者3人
  • ロントエンド開発者1人
  • エンゲージメントマネージャー1人
  • UI/UXデザイナー1人
  • デリバリーマネージャー1人

最初のソリューションは、2週間のスプリントを繰り返し、約20週間で開発されました。サードパーティシステムへの依存関係がいくつかあったため、店舗の稼働までに全体で42週間かかりました。

以下の動画では、消費者向けアプリ、店内エクスペリエンス、24時間セルフサービスキャビネットの概要を紹介しています。

このソリューションには、以下の4つのアプリケーションが含まれていました。

  • 消費者向けアプリ
  • 小売スタッフ向けアプリ
  • 本番アプリ
  • バックオフィスアプリ

このソリューションでは、SAP、ePOS、ロイヤルティシステムなどを含め、8つのレガシービジネスシステムとの連携が必要でした。

ソリューション全体の機能は以下のとおりです。

  • SMS確認コードによる顧客登録
  • QRコードによる入店 – 空港のセキュリティゲートと類似
  • プロモーションや店舗ギフトが表示されるアプリ内ランディングページ
  • ショッピング – NFCタグのタップアンドゴーまたはバーコードスキャン(アクティブなNFCが搭載されていないスマートフォンを使用しているユーザー用)でバスケットに追加
  • 支払い – クレジットカードなど、様々な支払方法に対応
  • QRコードによる退店
  • 24時間販売 – コンピュータビジョン対応のセキュアな陳列キャビネットから店舗外で製品を購入する機能

天井と棚に数十台のカメラを設置したコンピュータビジョンは、この未来店舗の重要な側面です。コンピュータビジョンとAIを組み合わせることで、補充を自動化したり、NFCスキャンやラベルスキャンのバックアップとして機能したり、セキュリティを支援したりできます。レジ待ちを完全になくすことも可能になるかもしれません。さらに、NFCスキャンやラベルスキャンを不要にし、ショッピングをより一層簡単にする可能性も秘めています。

JMの実験におけるOutSystemsの役割

OutSystemsは、開発の高速化、自動デプロイに対応するビルド済みのDevOps、完全なユーザーエクスペリエンスの実現を容易にするビルド済みのUIテンプレートやUIパターンなど、様々な面でJerónimo Martinsの実験に役立ちました。テストして学習するタイプのシナリオでは、必然的に手直しが必要になります。高速アプリケーション開発を採用したことで、数分あるいは数時間で変更を加えることができました。

こうしたエクスペリエンスについて、Tomás氏は次のように述べています。「OutSystemsを活用することで開発チームを小規模に保てたため、コミュニケーションがよく取れ、作業の焦点も絞りやすくなりました。また、ビジュアル開発により、開発者とプロダクトオーナーとのコラボレーションがより迅速かつ効果的になりました」。

変更と同じ程度の速さで多数のシステムと迅速に連携できることも、高速アプリケーション開発プラットフォームの大きなメリットです。Tomás氏は語ります。「OutSystemsを使用することで、8つのレガシーシステムをすばやく連携できました。また、外部システムや接続先デバイスに変更があった場合、必要に応じて簡単に修正を加えることもできました。ラボなので、すばやく修正をすることも実験のうちです」。

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「OutSystemsプラットフォームは、レガシー開発と新しい開発とをうまく両立させるうえで役立つとわかりました。このプロジェクト用に独立した顧客データベースをOutSystemsで作成し、連携させました。このアプローチにより、コアロイヤルティプラットフォームと直接連携させた場合と比べて、自由度と俊敏性がはるかに高くなりました」

Rui Tomás氏 Jerónimo Martins ITグローバルイノベーションディレクター

開発プロジェクト中に、Truewindの開発者はレガシーシステムの使い捨てモックアップをいくつか作成しました。これらがあったことで、レガシーシステムを利用できるようになる前の段階からラボ環境で連携を開発・テストすることができました。このため、プロジェクトが順調に進みました。モックアップがなければ、連携や依存関係の作業はすべて先延ばしになっていたはずです。OutSystemsでは高速開発が可能であるため、実際のシステムを利用できるようになり次第、モックアップを惜しみなく捨てることもできました。

2週間のスプリントでの実験は今後も続きます。Jerónimo Martinsは、毎日何百人もの来店客から得られるフィードバックとデータを基に、ユーザーエクスペリエンスを継続的に改善していくことでしょう。