SMBC日興証券、OutSystemsを活用し
ITのビジネス価値向上
銀行/金融サービス
アジア太平洋
複合金融グループである三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)傘下で証券業務を手掛けるSMBC日興証券では、急速なビジネス環境の変化にも適応できるよう、開発リソース調達の簡略化と開発プロセスの見直しを目的にOutSystemsを採用。開発期間を最大約50%短縮し、パートナー企業を含め、当初の5名から20名に開発者を拡充。現在、グループ全体約1万人の社員がOutSystemsで開発された各種業務アプリを活用している。
最大約50%
開発期間を短縮5名から20名
新たな開発メンバーの拡充約10,000人
OutSystemsによる各種業務アプリを利用OutSystemsの詳細
課題
開発プロセス・リソース調達の革新で
スピードと品質を両立
1918年に川島屋商店として創業したSMBC日興証券はグループの総合力強化を支える総合証券会社として成長してきた。個人・法人向けの資産運用コンサルティングや株式・債券の引受業務などを提供し、102の国内営業拠点と10を超える海外関連拠点を展開。
SMBCグループでは、2025年までの中期経営計画において、ボトムライン収益1兆円以上を見据えた経営基盤強化を推進。経営基盤の強化およびビジネスモデルの高度化を実現するためデジタル分野への投資を重要施策の1つとして位置付けている。その中で、SMBC日興証券のシステム企画部では、全社インフラの最適化を目指し、ローコードプラットフォーム、クラウド、生成AIなどの新技術を積極的に活用し、デジタル基盤の強化を進めている。さらにそこから得た知見・ノウハウを戦略・企画に還元し、実現性の高いITアーキテクチャー戦略を立案している。
「業務戦略とシステム戦略は車の両輪のような関係であり、どちらかが欠ければ企業経営は成り立ちません。事業戦略として我々が進める銀証連携を進化させるには、異なるカルチャーを持つ組織が共通の基盤で開発できるシステム戦略が不可欠です」
𠮷岡 伸輔 氏 SMBC日興証券株式会社 システム担当 執行役員
同社では、システム開発パートナーである日興システムソリューションズと連携して開発を進めていたが、新型コロナウイルスによる顧客行動や経済環境の変化、規制強化や制度改正、DX推進によるデジタル化の加速など、外部環境は大きく変化していた。さらに、サービス品質向上への取り組みやビジネスニーズの拡大にも対応する必要があり、開発プロセスの長期化やリソース不足といった課題が顕在化していた。こうした状況に対応するだけでなく、さらなる開発効率の向上や柔軟な対応力の強化を図るため、内製開発も視野に入れた開発体制の見直しが必要とされた。そのなかで、開発リソースの調達を簡略化することに加え、新たな開発アプローチの実現が可能なローコードプラットフォームの活用に着目した。
「RPAや現場主導型の改善プロセスは引き続き活用しつつ、ガバナンスを強化しながら、システム部門とユーザー部門が連携して柔軟かつ迅速に改善を推進できる環境が求められていました。そこで従来の大規模・複雑な基幹システムのようなシステム部門主導型とEUCのようなユーザー部門主導型の間を埋める新たな選択肢として、ユーザー部門とシステム部門が一体となってスピーディに要件を取り込むことができるOutSystemsに注目しました」
平間 晃 氏 SMBC日興証券株式会社 システム企画部 ITアーキテクト課長
ソリューション
多様な要件を満たす
最適なプラットフォームOutSystems
ローコードプラットフォームの選定にあたり、システムライフサイクルにおける適切な管理・統制(ガバナンス)が実現できる仕組みを備えた開発環境を重視した。また、フロントシステムの自由度を確保するため、基幹システムとは切り離して開発できること、基幹システムや周辺システムとの接続性が担保されていることも重要な選定基準とした。さらに、ローコードツールとして学習が容易であることや、成果物の可視化、ナレッジの循環を通じて持続的な開発体制を維持できることも評価のポイントだった。
OutSystemsの実現可能性を評価するために、情報共有同意書受領済みのお客さまのみを対象とした、銀行と証券の情報を1つの画面で共有できる銀証連携のパイロット案件を設定した。本案件は証券業務にとどまらない幅広い業務理解が必要なため、通常以上にユーザー部門とシステム部門間の連携が必要とされたが、プロトタイプを構築し、開発とテストを繰り返すことで、要件の取り込みを柔軟に行うことが出来た。また実装面に関しても、基幹システムとのAPI接続やリッチなデザインの実装など機能性の検証を実施した結果、標準機能やテンプレートを駆使することで、スクラッチ開発より容易に開発が可能であることから高く評価された。さらに社内規定をはじめとした非機能要件や開発プロセスおよび適用領域の検証も実施し、最終的に同社のニーズに合致すると結論づけられた。
また、内製化の有用性を検証すべく、認定トレーニング参加後の新入社員がパートナー企業の開発メンバーとともに要件定義から開発までの一連の業務を実施した。「ベテランエンジニアからは、未経験者の新入社員が複数の画面を担当すること自体がすごいことだと驚かれ、直感的な操作が可能なOutSystemsだからこそ未経験者が開発に貢献できたのだと実感しました」と平間氏。
「新卒でシステム未経験ながらOutSystemsの認定トレーニングに参加し、基本的な操作方法などを習得して、パートナー企業と一緒に開発を進めていきました。色や形が分けられたアイコンを並べながら開発できるため、私のような未経験者でも開発に携わりやすかったですし、ロジックがビジュアル化されているため、OutSystemsで開発された既存のアプリからも開発手法を学ぶことができました」
加藤 真由 氏 SMBC日興証券株式会社 システム企画部 ITアーキテクト課
これらの検証結果により、開発効率の向上、柔軟な要件の取り込み、内製開発推進の実現性が確認されたため、OutSystemsが採用された。
結果
内製開発の基盤として広く活用、
最大約50%の開発期間短縮を実現
現在、同社ではIaaS(Infrastructure as a Service)に展開するクラウド環境と自社のデータセンターの基盤上のオンプレミス環境でOutSystemsを利用しており、グループ全体約1万人の社員が各種アプリを活用している。情報共有同意書受領済みのお客さまのみを対象とした、銀行と証券の口座情報を一元的に可視化する社内アプリをはじめ、16件ほどの社内アプリが運用されている。開発メンバーについても、システム企画部の開発から事業部門のITチームまで、パートナー企業を含めると当初の5名から20名に拡大している。さらなる利用拡大に備えて、基盤の統制・全体管理と開発者支援を目的として、CoE(Center of Excellence)を立ちあげ、各種ルール整備とポータルサイトを利用した情報発信等を行っている。
IT未経験だった加藤氏が参画したプロジェクトは未上場企業の株価算出アプリの開発だ。従来Excelマクロで組まれていたものを読み解いてOutSystemsで刷新。属人化によりブラックボックスだった処理をオープン化するだけでなく、入力補助機能を追加し、社内のデータレイクと連携。ログ蓄積機能を追加することで、利用状況を可視化できるようになり、より高度化したツールとして運用している。
実際にOutSystemsを内製開発基盤として整備したことで、従来のウォーターフォール開発と比べて最大約50%の開発期間短縮を実現している。個別システムごとの基盤の立ち上げが不要なため作業負担が軽減されると同時に、画面やロジックがビジュアル化されていることで設計書作成の工数を削減することができている。
また、RPAやExcelマクロの多用により属人化したEUCを、OutSystemsへ移管することで、持続可能な業務環境の整備にも寄与している。リスクコントロール面でもOutSystemsの効果は大きい。企業にとって重要な機能を安定性や継続性が保証されていない基盤の上で運用することにはリスクが伴う。そのため、重要性の高いEUCをOutSystemsの基盤上で安全に運用できることは、リスク管理の観点からも非常に有用だという。
また、OutSystemsはシステム部門の人財強化にも役立っている。
「システムに対する重要度に比例して投資額が右肩上がりに増えていますが、社員数が増えていないことに課題を感じていました。システム開発において外部委託を活用すると、外部の専門性を活かせる一方で、委託に伴うコストのバランスが難しく、社内のノウハウ蓄積が十分に進みにくい。そこで内製化に貢献するデジタル人財の採用・育成の専門部署を立ち上げ、システム部門の人財増強を進めてきました。まさに内製化できる人財を増やすための1つの重要なツールとしてOutSystemsが役立っています」と𠮷岡氏は評価する。
今後は、ローコードツールの導入を組織変革の起点と位置づけ、業務とITが一体となって新たな価値を創出する基盤づくりを進めていく。さらに、CoEの社内浸透と開発者育成をさらに進めるとともに、AI主導の開発支援を行う「OutSystems Mentor」の活用も検討している。
SMBC日興証券株式会社について
- 所在地: 東京、日本
- 企業規模: 従業員数:8,924人
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戦略的目標
- デジタルエクスペリエンスのカスタマイズ
- アジャイル文化と大規模開発
- 自動化と効率化
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アプリケーション種別
- エクスペリエンス
- 効率化
- 拡張
- 基幹システム
OutSystemsの詳細