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間接材購買業務の合理化を支援する 「パーチェスワン」をOutSystemsで内製化し、顧客に提供する価値を最大化

1~2週間 で必要最低限のテストを実行
2年間 で内製の体制を構築
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ソフトバンクグループの一員であるSB C&S株式会社(以下、SB C&S)では、同社が提供する間接材購買支援ソリューション「パーチェスワン」の購買システムを内製化するにあたり、開発運用基盤として「OutSystems」を採用した。OutSystemsをPaaS形式で利用することにより、インフラ運用についてはOutSystemsにアウトソースする形で、社内のリソースをビジネスロジックの構築や洗練に集中。今後のサービス発展の礎となる安定したシステム基盤と内製での開発体制を構築した。

  • 業務効率の向上
  • デジタルコアシステム
  • フィールドサービスの最適化
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「始めに取り組んだのは、これまでに構築してきたシステムの精査と、それを将来にわたって安定して稼働し、改善し続けられる基盤として再構築していく作業だった。その中では、システムの設計そのものを見直し、“購買”という業務に合わせたものへと作り直すことも行った」

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梅山博徳氏 CX事業本部 サービスデザイン本部 パーチェスワン事業統括部 カスタマーサクセス部 部長代行
課題

顧客へ提供する価値の最大化を視野に
サービスの根幹となる「購買システム」の
OutSystemsによる内製化を決断

企業がビジネスを進める上で、ITシステムによる支援が必要不可欠なものであることは言うまでもなく、ITの導入そのものは、もはや差別化の要因とならない。競争力を維持し続けるためには、急速に変化するビジネス環境やユーザーニーズへ、ビジネスプロセスを柔軟に適応させると同時に、そのプロセスを扱うITシステムも変化させ、改善し続ける必要がある。

変化へ迅速に対応でき、競争力の源泉となるようなITシステムをいかに構築、運用するかは、企業ITの領域で長年取り組まれてきたテーマだ。特に近年では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、競争領域に関わるシステムを、ローコード開発環境を基盤として「内製化」していく取り組みに注目が集まっている。

こうした流れの中で、従来、外部のパートナーに委託していた自社サービスの開発を、OutSystemsによって内製化する決断を下した企業が、ソフトバンクグループでIT関連製品の製造・流通・販売、IT関連サービスの提供を手がける「SB C&S」だ。

SB C&Sでは、企業における間接材購買の課題解決を支援するサービス「パーチェスワン」を、2008年から展開している。キリンホールディングス、花王、LIXILをはじめとする大手企業での導入実績も多い。

パーチェスワンでは、システム導入にとどまらず、ユーザー企業が間接材購買において抱える課題に合った幅広いソリューションを提供し、購買活動の統制、業務の効率化、ひいては企業全体でのコスト削減を支援する。同社では、このパーチェスワンサービスの根幹に位置する購買システム「パーチェスワン クラウド」の開発を、OutSystemsによって内製化している。

「パーチェスワンは、システムを導入してそれで終わりという一時的なものではなく、企業の間接材購買に関わる課題を解決するパートナーとして、長期にわたって寄り添っていくサービスであるところが特長となっている」

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そう話すのは、SB C&S、CX事業本部 サービスデザイン本部 パーチェスワン事業統括部で統括部長を務める三松俊裕氏だ。パーチェスワンにおいて、ユーザー企業が購買業務を行うためのシステムが「パーチェスワン クラウド」であり、横断検索が可能なカタログ購買機能、見積購買機能、承認ワークフローなど、多彩な機能を備える。

同社では従来、この「パーチェスワン クラウド」の開発を、外部の開発パートナーと共同で行っていた。内製化に踏み切った背景には「商用として提供するシステムとして顧客の要望に対する改善対応をサービスの提供元であるSB C&Sが全面的にコミットすることが、今後のサービス発展において不可欠」との判断があったという。

「購買システムは、購買に関わるデータを可視化し、業務ルールを標準化する重要な役割を担う。だからこそ、お客様と長くお付き合いをする中で、システムの不具合や使い勝手について、さまざまな要望が出てくる。対応の優先順位付けやそれに伴うリソース調整などを顧客、社内、開発先の関係の中で調整しているとどうしても時間がかかってしまう。自分たちの責任において、お客様の要望にスピーディーに応えられる、しっかりしたサービスを提供できる基盤を作り、その上でパーチェスワンを発展させていきたい。内製化を決断したのは、それが最も大きな理由だ」(三松氏)

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OutSystemsを選択した理由
  • 制限のないフルスタックのビジュアル開発
  • 開発生産性の高さ
ソリューション

PaaS環境とサポートをフルに活用し
購買業務のプロがシステムを開発
間接材購買のための基盤を再構築

購買システムの内製化に舵を切ったSB C&Sだが、時間や予算、人員といったリソースが限られる中で作業を進めていくにあたり、OutSystemsの採用は自然な流れだったという。というのも、パーチェスワンがこれまで採用していたカタログ購買システムが、OutSystemsを使って構築されたものであり、内製化に伴ってそのシステムを買い受けた後も、OutSystems上で改善および新規開発を行っていくことが、最も効率が良いと判断されたからだ。

パーチェスワン事業統括部 カスタマーサクセス部 部長代行の梅山博徳氏は「内製化の議論の中では、OutSystemsと他の環境との比較検討も行った。その当時(2019年)は、ローコード開発環境が市場的にも注目を集め始めていた時期で、われわれも内製化にあたっては、そうした環境の導入がふさわしいと考えていた。中でもOutSystemsは、技術面、機能面で最も先進的だった」と話す。

同社では、OutSystemsでの内製化を進めるにあたり、開発元のOutSystemsによってクラウドサービス(PaaS)として提供されている環境を採用。合わせて「Technical Success Management」(TSM)と呼ばれるサポートプログラムを契約した。TSMは、年単位のサブスクリプションであり、OutSystemsの活用にあたって、専任の担当者を通じ、技術面を含む包括的なサポートを受けられる。ハイレベルなSLA(サービスレベル保証)、アドバイスやベストプラクティスなどの提供もプログラムに含まれる。

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同社では、サポートプログラムを通じて開発担当者がトレーニングやアドバイスを受けながら、約2年をかけて内製の体制を作り上げていった。

内製化に関わるメンバーの1人である、パーチェスワン事業統括部 カスタマーサクセス部 カスタマーサクセス課 担当課長の林啓氏は「いわゆる“コーディング”には詳しくないが、購買業務に明るい担当者が、短期間で使い方を習得し、ビジュアルに表現されたモデルを見ながら設計や実装、レビューを進めていくことができた。また、一度作ったモデルやUI部品の再利用も非常に容易だった。これは、OutSystemsというフレームワークがあるからこそのメリットだ」と話す。

また、同社では、OutSystemsの環境をPaaSとして利用していることも、内製化を実現する上での大きなポイントだったとする。

「パーチェスワン事業部内には、これまでの事業の中で、商用サービスインフラの構築や運用を行えるノウハウがなく、パーチェスワンを自社で開発、運営していくにあたって、インフラ、ミドルウェア、DB管理といった分野のエキスパートをそろえることは難しかった。OutSystemsをPaaSとして利用できたことで、そうしたインフラに関わる部分についてはOutSystemsに任せ、われわれは、購買システムのビジネスロジックを洗練することや、機能の拡張にリソースを集中することができた」(梅山氏)

「ローコード環境は、汎用言語と比較すると開発の自由度が制限されるという意見もあるが、少なくともOutSystemsにおいて、業務要件上で問題となるような不便さ、不自由さはないと感じている。それよりも、前述のメリットのほうが大きい」

林啓氏 CX事業本部 サービスデザイン本部 パーチェスワン事業統括部 カスタマーサクセス部 カスタマーサクセス課 担当課長
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「内製化立ち上げから2年を経て、サービス品質を確保し、今後の発展の基礎となる基盤を再構築するという点では、目指していたレベルに達したと考えている。パーチェスワンは“購買プラットフォーム業界ナンバーワン”となることを掲げているので、ようやくそのスタートラインに立てた段階だ」

梅山博徳氏 CX事業本部 サービスデザイン本部 パーチェスワン事業統括部 カスタマーサクセス部 部長代行
結果

サービス拡大を支える基盤が完成
不具合対応や要望反映の迅速さで
新たな顧客からの信頼も獲得

SB C&Sでは、パーチェスワン クラウドの購買システムについて、段階的にOutSystemsの適用範囲を拡大しつつ、運用を続けている。

「内製化立ち上げから2年を経て、サービス品質を確保し、今後の発展の基礎となる基盤を再構築するという点では、目指していたレベルに達したと考えている。パーチェスワンは“購買プラットフォーム業界ナンバーワン”となることを掲げているので、ようやくそのスタートラインに立てた段階だ」(梅山氏)

内製化により、改善や不具合対応を迅速化するといった取り組みにも、徐々に効果が出始めているようだ。例えば、汎用言語であればテストを含めて1人月を要していたような規模の修正が「必要最低限のテストを行いつつ、1~2人週程度の時間で対応可能になっている」(梅山氏)という。

「パーチェスワン クラウドは購買業務のためのシステムであり、それが止まれば、お客様の業務も止まってしまう。SB C&Sが責任をもって開発、提供するサービスとして内製化を進めたことで、不具合対応や改善の要望に、可能な限り迅速に応えることができるようになった。もちろん、ITシステムである以上、インシデントのリスクを完全に取り除くことは難しいが、何か問題が起こった場合や、お客様から新たな要望が出た場合に、できるだけ早く対応できることが、お客様からの信頼を得ることにもつながっている」(三松氏)

現在のパーチェスワン クラウドにおける不具合対応、要望反映の「スピード感」は、顧客にも高く評価されており、競合となる購買システムから、パーチェスワン クラウドへと乗り換えるケースも出てきているという。

「お客様との長期にわたる信頼関係を築いていく上でも、内製化とサービス提供をOutSystemsで行っていくことには、大きな意味があると感じている」

三松俊裕氏 SB C&S株式会社
CX事業本部 サービスデザイン本部 パーチェスワン事業統括部 統括部長

共に顧客へ価値を届けるための
協業パートナーとして強く信頼
「OutSystemsはベストな選択」

パーチェスワンの将来的な発展を担う基盤を提供するOutSystemsに対し、SB C&Sが寄せる期待は大きい。

「OutSystemsには、開発運用環境としてはもちろん、PaaSの運用部分も含めて、非常に多くのリクエストを出している。一般的に、外資系のクラウドサービスは、個々のユーザーからのリクエストへの反応は鈍いイメージがあるが、OutSystemsジャパンは、われわれの細かい要望を拾い、カスタマーサクセスの一環としてヘッドクォーターへ伝えてくれている。実際、この2~3年の間に反映された要望も多い」(梅山氏)

同社では、OutSystemsを、顧客に価値を提供していく「協業」のパートナーと捉え、今後も引き続き信頼関係を深めていきたいとしている。

「ITシステムは、パーチェスワンにとって、サービスの根幹と言ってよい。われわれとしては、OutSystemsについて、単にライセンスを買って環境を利用しているユーザーというよりも、PaaSと、その上で動くアプリケーションを通じて、お客様に一緒に価値を提供していく協業パートナーだと捉えている。今回、OutSystemsのPaaS環境とサポートを採用したことは、われわれが責任を持つべき購買プロセスの洗練や効率化といった領域に、集中してリソースを割ける環境を作れた点で、ベストな選択だったと考えている。引き続き良い関係で、事業の発展を目指していきたい」(三松氏)