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レガシーシステムの課題へ対応する「共通開発基盤」に OutSystems を採用、ローコードによる開発運用環境と人材育成で DX を加速する LIXIL

環境変化へ柔軟に対応できるシステム環境の実現 ローコードの長所を引き出す環境整備とエンジニアのリスキリングを展開
アジャイルの導入で開発と運用の手法を改革 スクラムとOutSystemsの相乗効果が開発生産性の向上と意識変革を促進
重要かつ大規模な業務システムを短期間でリプレース 蓄積したノウハウとナレッジで数億円規模のコスト削減に成功
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住宅設備機器・建材メーカーの国内最大手であり、アジア、北米、欧州をはじめとするグローバルでも事業を展開する LIXIL。同社では、事業を変革し、消費者の新たなニーズに応え、生産性や従業員エンゲージメントを向上させる DX の推進に取り組んでいる。そのために重要となる「アプリケーション」の開発・運用手法の改革にあたり、OutSystems を中核的な共通アプリケーション基盤として採用し、IT システムが生みだす「価値の最大化」に挑んでいる。

  • ビジネスプロセス管理
  • 運用効率の向上
  • デジタルトランスフォーメーション
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「導入して 5 年以上になる OutSystems は、レガシーシステムの課題解決や新規開発の迅速化、加えて“デジタルの民主化”の推進にも貢献しています。引き続き現状の見直しと改善を通じて、OutSystems のメリットを限界まで引き出し、システムが提供する価値を最大化することにチャレンジしたいと思っています」

三浦 葵 氏 株式会社 LIXIL
デジタル部門 システム開発運用統括部 共通プラットフォーム部 リーダー
課題

販売管理システムのモダナイズをきっかけに
「全社共通基盤」による開発運用手法の変革へ着手

「LIXILの“DX”はデジタルを活用して新たな顧客体験を創造する“CX”と、従業員の生産性やエンゲージメントの向上を図る“EX”から構成されます。その中で OutSystems はレガシーシステムの課題を 解決できる、柔軟性とアジリティに優れたアプリケーション基盤として、中核的な役割を担っています」

金澤 祐悟 氏 株式会社 LIXIL
執行役専務 Marketing・Digital 担当 兼 Chief Digital Officer

同社と OutSystems の出会いは 2017 年に行われた「建材流通店舗向け販売管理システム」の再構築プロジェクトにさかのぼる。旧システムはプロプライエタリな “DB 開発ツール”( RAD ツール)で構築され、十年以上にわたる長期運用の中でシステムの大規模化や複雑化、保守開発の属人化といった問題が顕在化しつつあった。また基盤となっていた開発ツール自体も老朽化が進んでおり、リプレースが不可欠な状況だった。

このプロジェクトに取り組んだ、デジタル部門システム開発運用統括部共通プラットフォーム部リーダーの三浦葵氏は「リプレースにあたり、パッケージを利用するか、フルスクラッチで再構築すべきか、あるいはローコードツール的な開発環境を使うかについては事前にさまざまな観点から検討を行った」と話す。

パッケージによる再構築は、既存の業務プロセスへの対応が難しい。一方フルスクラッチでの開発は自由度は高い半面、コストと期間が膨大になる。そこで一部内製によるローコードプラットフォームでの開発を行うことを決定し、ツールとして「OutSystems」を選択した。

三浦氏は OutSystems の選定理由として「大規模かつ複雑なシステム開発が可能な数少ないローコードプラットフォームであること」「ビジュアルモデリングによる開発環境がローコード初心者にも扱いやすく、機能拡張モジュールを利用した自由度の高い開発が可能なこと」を挙げた。

このプロジェクトでは OutSystems に明るいパートナーの協力を得ながら、約半年の短期間で主要機能の再構築を実現した。同プロジェクトは OutSystems 本社が OutSystems ユーザーの先進的な事例を顕彰する「IT Transformation Awards 2018」を受賞している。

この業務への影響が大きいレガシーシステムのマイグ レーションプロジェクトをひとつのきっかけに、LIXIL では OutSystems を全社標準のアプリケーション基盤として、本格的に展開していくことに取り組む。

「プロジェクトの開始当時、OutSystems を全社基盤としていくビジョンはまだ明確ではありませんでした。しかし社内にはほかにも旧来の手法で作られた古いWebアプリや、 Visual Basic などで作られたレガシーアプリが多数稼働しており、今後それらをモダナイズするニーズが増えていくことが予想されました。OutSystems を社内の標準的なプラットフォームとすることで、今後ますます増えていくシステムニーズへ迅速に対応できる体制を作るべきだと考えました」

三浦 葵 氏 株式会社 LIXIL
デジタル部門 システム開発運用統括部 共通プラットフォーム部 リーダー
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OutSystemsを選択した理由
  • アプリの刷新
  • レガシーモダナイゼーション
  • 運用効率の向上
ソリューション

「3つのステップ」を通じて段階的に
OutSystemsの活用範囲拡大と人材育成を推進

同社では 2017 年以降、大きく 3 つのステップを経て OutSystems による次世代開発基盤の整備に取り組んできた。導入直後は OutSystems による次世代開発基盤の整備に取り組ん できた。導入直後はガイドラインの作成を含む開発ルールの標準化、および基本的な処理パターンや共通部品の作成といった開発環境の整備を進めた。特に最初の 2 年間は開発に有用なナレッジやノウハウの蓄積、標準ガイドラインの改善に集中したという。

次のステップではデジタル部門においてアジャイル開発の手法である「スクラム」を根付かせる取り組みを行った。アジャイルは「開発するソフトウェアがユーザーに提供する価値を最大化する」ことを目指すコンセプトであり、スクラムはその実践のために体系化された標準的なフレームワークのひとつである。スクラムではシステム開発にあたり業務を良く知るユーザーを含めて「チーム」を組織し、動く成果物を短期間で開発するプロセスを繰り返しながら、完成度を高めていく。その過程で、チームには課題の発見や解決、議論や決断における自律性が求められる。

三浦氏は「OutSystems はアジャイル開発との親和性が非常に高い」と評価する。

「OutSystems の“ビジュアルモデリング”という特性は、課題解決や業務遂行に個人ではなくチームで取り組む“スウォーミング”に向いています。デジタル部門 の働き方を個人戦からチーム戦へと変化させていくにあたり、業務の属人化解消にも寄与しています。またOutSystems には、テストやデプロイを自動化する機能が標準で備わっています。これにより CI/CD (継続的インテグレーション/継続的デリバリ)の環境が比較的容易に構築でき、システム開発ライフサイクル全体の生産性向上につながります」(三浦氏)

開発標準や環境の整備が進み部内にアジャイル開発の知見が蓄積されるに従い、社内のシステム案件においてプラットフォームに OutSystems が選ばれるケースも増えてきた。そこで重要になったのが各案件を担当するチーム間での情報共有や全体最適を図る取り組みだ。LIXIL では 2020 年に OutSystems 活用を統括する組織である「CoE」(Center of Excellence)を設け、開発運用を迅速かつ効率的に進められる体制を構築した。

デジタル部門システム開発運用統括部共通プラットフォーム部で、ローコード基盤プロダクトオーナーとして CoE の運営を手がける橋本侑季氏によれば、CoE では OutSystems 開発者の育成と環境整備を進めており、各チーム間での情報共有、活用のための情報発信などにも取り組んでいるという。

橋本氏自身も情報工学を学んでいた学生時代に LIXIL でのインターンプログラムに参加し、そこで初めて OutSystems による開発を経験したという。入社後は業務として引き続き OutSystems による開発と共通基盤の整備に携わっている。

「社内では OutSystems の初級開発者になるためのオンボーディングプログラムを用意しています。このプログラムは新入社員からシニア社員まで幅広く展開しており、オンボーディング後は主要なプロジェクトにアサインされ開発メンバーとして活躍できる環境を作っています。そのほか、OutSystems に関する情報ポータルサイトの更新や、社内 SNS を通じた問い合わせへの対応なども CoE が中心となって行っています」

橋本 侑季 氏 デジタル部門 システム開発運用統括部 共通プラットフォーム部 ローコード基盤 PO
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「2021 年 12 月からの 1 年間で OutSystems を採用するプロジェクトの数は、11 から 24 へと 2 倍以上に増加しています。また 2023 年第 1 四半期においても、5 件ほどの問い合わせがありました。OutSystems による共通プラットフォームが、システム案件の選択肢として検討される機会は確実に増えています」

三浦 葵 氏 株式会社 LIXIL
デジタル部門 システム開発運用統括部 共通プラットフォーム部 リーダー
結果

レガシーシステムの課題解決に大きく貢献
開発生産性の向上とコスト削減でDXを加速

人材育成や環境整備、スクラムの導入、そして CoE による情報共有と改善活動が進められるのと並行して、 OutSystems によるレガシーマイグレーションや新規開発の実績も増えた。既に稼働中のシステムには「受注見積」や「修理受付」など、重要な業務に関わるものも多く含まれている。

中でも大きな実績として挙げられるのは、2022 年に行なわれた「営業支援システム」のリプレースプロジェクト である。

「以前の営業支援システムが導入から 7 年ほど経過していたこともあり、ビジネスを取り巻く 環境の変化やセールスの役割や働き方の変化、LIXIL が今後目指すべきシステムのあり方など について将来へ向けた再検討が必要なタイミングを迎えていました。その課題を解決するにあたり、QCD (品質、コスト、納期)の総合的な観点から、OutSystems によるリプレースが最適だと判断しました」

鬼木 啓一郎 氏 株式会社 LIXIL
デジタル部門 システム開発運用統括部 マーケティングシステム部 主幹

同社では 2022 年 4 月から 10 月までの約半年という短期間で約 80 人月の開発を実施し、新システムのファーストリリースを実現する。リプレース後のシステムは、現在も大きな問題なく運用と改善が続けられており、国内の全営業が利用する大規模なものになっている。

「このプロジェクトにより、試算ベースで数億単位の開発コスト、運用コスト、ライセンスコストの削減を実現しました。この成果はこれまで LIXIL が、5 年以上にわたって取り組んできた共通開発基盤の環境整備、人材育成、そして実践を通じたノウハウやナレッジの蓄積があってこそ、生まれたものと言えるでしょう。弊社では今後も引き続き、OutSystems による開発生産性の向上、ユーザーへの価値提供の最大化、そしてそれらを通じたビジネスへの貢献をさらに強めるための取り組みを続けていく所存です」

岩﨑 磨 氏 株式会社 LIXIL
常務役員
デジタル部門 システム開発運用統括部 リーダー

「OutSystems を共通プラットフォームとしてから既に 5 年以上が経過しました。その間、OutSystems を採用するプロジェクトの数は着実に増加し、レガシーシステムの課題解決や新規開発の迅速化、加えて、ユーザーを含むチームが自律的にシステム開発に取り組む“デジタルの民主化”の推進にも貢献しています。今後はいま一度原点に立ち返り、現状の見直しと改善を通じて OutSystems というローコードプラットフォームが持つメリットを限界まで引き出し、システムが提供する価値を最大化することに改めてチャレンジしていきたいと考えています」(三浦氏)

【企業情報】
株式会社LIXIL
所在地:東京都品川区西品川1丁目1番1号 大崎ガーデンタワー24F
設立:1949年9月19日
資本金:685億3,000万円
従業員数:5万6,106名 (連結、2022年3月現在)
URL:https://www.lixil.com/jp/

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