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UX に優れた販売管理システムを OutSystems で構築、 全社 DX 基盤として活用範囲の拡大を推進

ユーザーの要望を反映した業務システムの構築 ローコード+アジャイル的手法で迅速に開発
本稼働後も週単位でのリリースを継続 法令改正や業務プロセスの変更へ柔軟に対応可能に
全社 DX 基盤としての活用を推進 連携が容易な統合された基盤として適用範囲を拡大
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リックソフトは柔軟性に課題のあった販売管理システムをOutSystems による内製開発で刷新した。旧システムに不足していた新機能の実装や、エンドユーザーからの改善要求への迅速な対応を実現している。この成果をもとに販売分析アプリケーション、経理システムとの連携、顧客情報管理といった周辺システムの開発も行っている。同社ではOutSystems を「全社DX 基盤」と位置付けており、活用範囲の拡大を検討している。

  • 運用効率の向上
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「グローバルで利用されている “価値あるツール” を見つけ出し、日本企業に紹介することが私のライフワークです。さまざまな情報や評価を参考にしながら実際に自分たちで使ってみた結果として、OutSystems もそうした “価値あるツール” のひとつだと感じています」

大貫 浩 氏 リックソフト株式会社
代表取締役社長
課題

機能不足の販売管理システムを刷新し
データ連携や活用が容易な環境を構築

近年、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)や、それに伴う「アジャイル開発」への関心の高まりを背景に需要が高まっている「Jira Software」や「Confluence」といった開発関連ツール。リックソフトは、これらのツールを開発する豪アトラシアン社の日本国内における販売代理店だ。ライセンス販売に留まらず、教育、サポートなど活用支援サービスや「WBS ガントチャート for Jira」をはじめとする、自社製アドイン製品の開発も手がけるなど、日本企業のシステム開発における生産性向上を広く支援する事業を手がける。

同社では、業務部門で利用する「販売管理システム」をOutSystems による内製開発で構築した。それ以前は、Java をベースとしたOSS のERP パッケージをカスタマイズして利用していたが、その使い勝手や改修の難しさが長年の課題となっていたという。

「旧システムは必要最低限の業務を行うことはできましたが、それに付随するワークフローやデータ連携、入力に対する補助やチェック、自動計算といった基本的な機能が不足しており、現場としての使い勝手はあまり良いとは言えないものでした」

國谷 秀彦 氏 リックソフト株式会社
業務部 セクションマネージャー

旧システムでは会計ルールの変更などに対応するための必要不可欠な修正は行っていたものの、日々多様化し変化する業務プロセスへの対応や、「使い勝手を向上したい」といったユーザーからの改善要求への対応はかかるコストや期間の問題から極めて困難だったという。今後も続くルールやプロセスの変更、業務品質や効率の向上を考慮した時、システムの全面的な刷新は必須だと判断された。

同社では新販売管理システムの構築にあたり将来的な周辺システムとの連携等も視野にアーキテクチャを策定し、複数の製品候補を比較検討した。当初はパッケージ製品のカスタマイズも検討したが、プロトタイプ開発を進める中で同社が新システムに求めていた高い「ユーザビリティ」や「拡張性」の実現が難しいことが判明したという。

「われわれの業態では、製品の販売形式が常に変化します。そのため新販売管理システムの基盤となるプラットフォームには、データベースのレコード設計ができることが必須条件でした。当初はその条件を満たすパッケージを使うことも考えたのですが、帳票設計などの自由度が思ったよりも低く、できあがったアプリケーションを現場が使いこなすための教育コストが膨大になることが予想されました。そこでパッケージのカスタマイズは諦め、OutSystems による内製で新規に開発することにしました」(國谷氏)

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OutSystemsを選択した理由
  • 専門開発者の生産性向上
  • 継続的デリバリーの実現
  • 開発の加速と俊敏性の向上
ソリューション

ローコードとアジャイルの組み合わせで
現場の要望を反映した UX を実現

OutSystems に関しては、社内の開発経験と運用経験をもつエンジニアが調査を行っていた。社内で実際に試用する中で販売分析アプリケーションのプロトタイプなどを開発しており、ローコードツールとしての開発生産性の高さや開発プロセスの標準化が容易といった観点から高く評価していたという。

折しも、進行中の新販売管理システム構築プロジェクトと並行して、同社では企業全体として DX に取り組んで行く年度計画が示される。OutSystems は企業 DX の基盤として採用されると同時に、開発中の新販売管理システムがその皮切りと位置付けられることになった。

「OutSystemsの評価にあたっていろいろと調査をしたのですが、技術情報は非常にオープンになっており、熱心な海外ユーザーのコミュニティも活発に活動していることが分かりました。私の感覚としてこうしたツールは長期にわたって生き残るケースが多いと思っています。その点で今後のリックソフトにおけるDXの基盤として広く活用していけるプラットフォームとなることを期待し、採用を決めました」

大貫 浩 氏 リックソフト株式会社
代表取締役社長

同社では新販売管理システムの構築にあたり、國谷氏をはじめエンドユーザーとなる業務部のメンバーと実装を行う開発者によるチームを組織し、アジャイル的な手法で開発を進めた。まずは業務要件をもとに、半年ほどかけてアプリケーションのプロトタイプを作成。その後同じく半年ほどの期間でユーザーに使ってもらいながらフィードバックを受け、必要な改善を反映していくという作業を繰り返した。社外の実装担当者とのコミュニケーションやタスク管理には同社が扱う「JiraSoftware」「Confluence」といったツールも活用しながら構築を進め、開発開始から約 1 年後の 2022 年 9月に正式運用を開始した。

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「新しいシステムは、現場の要望をきちんと取り入れたものにすることが目標のひとつでした。ただ、それを旧来の業務システムの開発プロセスに則って実現しようとすると、作成すべき文書量は膨大になり時間もかかります。OutSystems では開発を進める中で、システムに組み込まれた要件がモデルとして蓄積されていきます。OutSystems とアジャイル的な手法の組み合わせで個別の文書作成がほぼ不要になり、開発が効率的に進められました」

國谷 秀彦 氏 リックソフト株式会社
業務部 セクションマネージャー
結果

使いやすいUIで業務の品質と効率が向上
高品質なデータ連携が可能なDXの基盤に

OutSystems で構築した新販売管理システムは、リックソフト社内で「Athena」(アテナ)と呼ばれている。業務部のユーザーとして、開発時よりフィードバックの取りまとめに携わっている石原紗矢夏氏は「ユーザーのアイデアを取り入れたUI が反映されており、使い勝手に対する評価は高い」と話す。

「従来のシステムでは入力項目のチェックなどが自動で行えず、ユーザー側で間違えないよう意識しながら入力作業をする必要がありました。Athenaではそれらが自動化されたことに加えてデータの検索が容易になったり、出力結果を保存する際のファイル名が自動で生成されたりなど現場視点で“こうであってほしい”と長年感じていた機能が多く実装されており、使い勝手についてはおおむね良い評価が得られています」

石原 紗矢夏 氏 リックソフト株式会社
業務部

またアプリケーションは現在も週に約 1 回のペースで更新リリースされており、業務上必要な変更やユーザーからの要望反映なども迅速に行われる体制が整ったという。

業務部でのデータ入力作業が改善されたことは、事業全体の基礎となる品質の良い「販売データ」の蓄積につながっている。同社では DX 基盤として導入したOutSystems 上に、Athena と連携する「販売分析」「経理システムへのデータ連携」「顧客情報管理」といった周辺システムを順次構築している。

「Athena では以前にはできなかった製品原価を直接入力できる仕様になったため、業務部が入力したデータを販売分析や予算管理などでも即時活用できるようになりました。同じOutSystems 上の販売分析ツールで、日次での売上状況の把握が可能です」(國谷氏)

また販売管理システムから経理システムへのデータ転送は以前には手作業が含まれる煩雑なプロセスで行われており、月単位で実施されていた。現在では経理が任意のタイミングで販売データを取得できるようになっており、決算の早期化に貢献している。同時に懸案となっていた新収益認識基準への対応も完了できたという。

同社では Athena の開発(第 2 フェーズ)を継続しており、先に挙げた以外のさまざまなシステムとの連携や変化する法令や業務ルールへの対応、ユーザーの要望に応じた機能追加や UI 改善などを今後も続けていく計画だという。

「Athena は開示情報に対する影響度の大きさから監査法人による IT 統制チェックの対象になりましたが、問題なくパスすることができました。今回、OutSystemsとアジャイル的な手法を組み合わせて内製で開発を行いましたが、必要なプロセスやドキュメントさえ整えていれば、経営に深く関わるようなシステムでも外部監査に応えられる形でアジャイル的に作れることを実証できたと思っています。今後も OutSystems を全社 DXの基盤として、より広く活用していきたいと考えています」(大貫氏)

登録商標について
アトラシアン、Jira Software、Confluence は、Atlassian Pty Ltd. の商標または登録商標です。

【企業情報】
リックソフト株式会社
所在地:東京都千代田区大手町2-1-1大手町野村ビル8階
設立:2005年1月4日
資本金:3億4,491万7,080円 (2022年11月30日時点)
URL:https://www.ricksoft.jp/

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【企業プロフィール】
世界で活用されている価値ある “ツール” を日本の企業にも使ってほしい」という理念を掲げており、豪アトラシアン社のアジャイル開発ツール「Jira Software」 や企 業 向 け Wiki システム「Confluence」をはじめとする海外ベンダー製ツール、自社製アドイン製品の販売と導入支援を核とした「ツールソリューション事業」が主力。2020 年にはアトラシアン社の「Partner of theYear」(APAC Service 部門)に選定されている。