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空調設備の企画・設計・施工・保守を手がける高砂熱学工業では、40年以上運用を続けてきた基幹業務システムのリプレースにあたり、パッケージでは対応できないシステムニーズに応えるため、大半を自社開発することを決断。その開発ツールとして、OutSystemsを採用した。パートナーであるアビームコンサルティングと共にEnterprise Agileアプローチでリスクを軽減、業務変革要求を取込みながら、限られた期間で計600以上の機能、画面を開発。現在は、高い生産性を生かしつつ、システムの修正、改善を進めている。今後は活用範囲を広げ、ビジネス価値の向上を実現する新規アプリケーションの開発などにも、OutSystemsを活用していきたい意向だ。
「今回のプロジェクトは、基幹システムの新規開発ということもあり、慎重に進める必要がありましたが、OutSystemsは、その要求に十分に応えてくれました。今後は、さまざまな機能を活用して、業務システムをより使いやすく拡張したり、新規のソフトウェアを開発したりといった形でも使っていきたいと考えています」
高砂熱学工業は、2023年に創業100周年を迎える、空調設備の企画・設計・施工・保守を手がける国内最大手の企業だ。施工実績には、国内の著名な商業ビル、オフィスビル、ホテル、スポーツ施設、劇場などが多数名を連ねる。主力である空調設備工事業を核に、創業時より蓄積してきた技術とノウハウを生かし、「環境クリエイターⓇ」として「地球や人々に必要とされる“環境”」を創造する企業を目指す。
同社では、これまで40年近くにわたって使い続けてきた、メインフレーム上の基幹業務システムを刷新した。
「旧基幹システムは、先達がしっかりとした設計に基づいて開発を行ったものでした。そのため、システムとしての質は非常に高く、長期にわたって使い続けることができたのですが、特にインフラやアーキテクチャについては、近年のIT環境に合わせていくことが難しくなっていました。プログラムも、COBOLやPL/Iといった言語が混在した形で書かれており、メンテナンスにあたって、プログラマーの確保が難しくなっていました。ビジネスを支えるシステムを、将来にわたって持続可能なものにしていく上では、基幹システムの全面的な刷新が必要だと判断しました」
そう話すのは、高砂熱学工業の執行役員で、DX推進本部長を務める古谷元一氏だ。基幹システムのリプレースにあたり、同社ではスクラッチ開発のほか、パッケージ、SaaSの導入なども、幅広く視野に入れて検討を行った。下した判断は、これらを適材適所で導入する、「ハイブリッド」な構成でのシステム構築だったという。
「会計や人事といった領域については、それぞれに利用できそうなパッケージやSaaSがあったのですが、大規模な建設業で工事の管理を行う部分については、適合性の高いSaaSやパッケージを見つけることができませんでした。そこで、その部分については、自社で独自に開発するという方針を立てました」(古谷氏)
同社では、基幹システムの新たなインフラとして「Microsoft Azure」、主に会計部分のアプリケーションとして「SAP S/4HANA」、人事にSaaSの「SAP SuccessFactors HCM」の採用を決定。建設業特有の工事管理に利用するアプリケーションや、ID管理のような一部の共通基盤については「OutSystems」を使って、独自に開発を進めた。
古谷氏は「開発ツールの選定は、かなり慎重に行った」と振り返る。同社では、これまで20年以上にわたって、統合CASEツールを活用した自社開発を手がけてきており、ツールの支援を受けながら開発生産性、保守性を向上していくためのノウハウを蓄積してきた。
「自社で開発することを決めた際に、ツールとしては、設計、データベース構造の定義といった上流から、アプリケーションの画面の動きといった下流の工程までを、文字どおり“統合的”に扱えるものを採用することが必須条件だと考えました。また、ツールを活用しながら、効率的に開発や保守が行える体制を作るためには、会社としての開発プロセスの“標準化”が極めて重要です。こうした標準化の取り組みが生かせるツールであることもポイントでした」(古谷氏)
同社では、これらの条件のもとで、複数のローコード開発ツールを比較検討した。OutSystemsに関しては、既にツールを導入している企業への訪問や、プロトタイプ開発なども行いながら、詳細な機能や特長について評価を実施。総合的な使い勝手や機能から、採用を決定した。
基幹システム刷新プロジェクトが始動したのは、2019年の夏ごろ。OutSystemsの採用を決定し、実際の開発に着手したのは2020年2月以降のことだった。
建設業として工事などを管理するシステムは、同社の中核事業に関わる重要なものだ。高い品質が求められる開発作業にあたり、同社では、実際の開発と、開発プロセスの標準化を並行して進めていった。
OutSystemsによる開発を指揮した、情報システム部担当課長の高橋大典氏は「OutSystemsを使うと、動くアプリケーションを簡単に作れてしまうのですが、だからといって無軌道に進めてしまうと、全体の品質も、保守性も下がります。今回の開発では、CASEツールを利用していた際に行っていた開発プロセス標準化の仕組みを、パートナーであるアビームコンサルティングが保有する方法論をベースにOutSystemsに適用し、品質を上げていくことに取り組みました」と話す。
また、開発手法もパートナーであるアビームコンサルティングから提案されたEnterprise Agile―反復アプローチを適用し段階的にリスクを軽減し品質を作りこみつつ、並行する業務変革にあわせ優先度が高い要件を取込みながら進めるアプローチを採用。開発する領域を6つのロットに分け、プロジェクト作業を進めていった。当初は、OutSystemsの使い方自体に慣れていないこともあり、また、開発アプローチへの浸透に時間を要し、手戻りが発生したこともあったというが、加速度的に品質と開発スピードを上げていくことができたという。
高橋氏が指摘した、開発時におけるOutSystemsの大きなメリットのひとつは、ローコードツールとしての開発生産性の高さだ。
「自社で開発を行うことを決めた際、ツールとしては、上流から下流までの工程を、文字どおり“統合的”に扱えるものを採用することが必須条件だと考えました」
ローコードツールとしてのOutSystemsの特性は、現在同社が進めている「内製化」の体制強化においても、有効に活用できるだろうと古谷氏は評価する。
「ローコードツールのメリットは、開発者のITスキルの不足を、ツールが吸収できることです。今後、現場にとって価値の高いシステムを、社内で迅速に開発、拡張、保守していけるような、内製化の体制強化を考えています。その際にも、プログラミングスキルはないけれども業務に明るいメンバーが、業務知識を生かしながらシステムを実装していけるような環境を作っていく上で、OutSystemsは効果的に利用できるだろうと考えています」(古谷氏)
「今回のパートナーはコンサルティングファームであり、プログラミングについての専門的なスキルを持つメンバーは多いとは言えない状況でした。彼らとのコラボレーションにOutSystemsを利用したことで、言語やコーディングのような学習コストの高い知識の習得に時間をかけることなく、われわれの業務プロセスを理解してもらったり、そのシステム化の方法を議論したりといった本質的な部分に、より多くのリソースを割くことができました」
パッケージ、SaaS、自社開発を組み合わせた同社の新たな基幹業務システムは、2022年4月に本稼働を開始した。開発開始からの約2年で、工事関係、人事関係、ID管理などの共通基盤に関わる部分を合わせ、計600以上の機能と画面をOutSystemsで開発した。
「期間が限られている中で、開発のボリュームはかなり多いという状況でした。ツールとしてのOutSystemsと、アジャイル的な手法の組み合わせがなければ、時間内に十分な品質で開発を行うことは難しかったと思います」
本稼働の開始後、間もないこともあり、新たなシステムや開発プロセスの導入効果を評価する段階にはないが、既に良い兆候は見えつつある。そのひとつは、システムの「改善」における圧倒的な効率の高さだ。
「完全なリプレースを行ったこともあり、現在は、稼働後に発見された不具合の修正や、現場からの改善要求などに次々と対応しているところです。OutSystemsを採用したことで、こうした修正や改善の効率は、劇的に高まったと感じています。例えば、軽微なUIの修正などは、ユーザーと一緒に画面を見ながら、その場で変更後のイメージを見せ、了解を取って完了するといったことも可能になっています。こうした効率的な改善を繰り返していくことで、現場の生産性にも、徐々に良い影響が表れると思っています」(高橋氏)
同社では、導入したOutSystemsを、今後はより広く、新たなソフトウェアの開発にも活用していくことを視野に入れているという。
「今回のプロジェクトは、基幹システムの新規開発ということもあり、かなり慎重に進めましたが、OutSystemsは、その要求に十分に応えてくれました。今後は、OutSystemsを前提に開発プロセスをブラッシュアップしながら、さまざまな機能を活用して、システムをより使いやすく拡張したり、新規のソフトウェアを開発したりといった形でも使っていきたいと考えています。例えば、現場の利便性を高めるようなアプリケーションのモバイル対応や、建設業界のパラダイムシフトとして注目されているBIM(Building Information Modeling)に準拠し、建築のライフサイクル全体でのデータ活用と業務効率化を促進するようなシステムの実現などにも生かしていきたいですね」(古谷氏)
古谷氏は「これから時間をかけて、OutSystemsによる開発や運用のノウハウを蓄積しながら、このツールを自分たちの道具として、本当に使えるものに育てていきたい」と話す。
「OutSystemsのようなツールに強く望むのは、技術に対する新しいニーズやトレンドの変化をツール側で吸収し、ユーザーが望むときに対応できるようにしてくれること。OutSystemsには、そのための改善と進化を続けてくれることを希望しています」(古谷氏)
登録商標について
SAP、SAP S/4HANA、および本文書に記載されたその他のSAP製品、サービス、ならびにそれぞれのロゴは、ドイツおよびその他の国々におけるSAP SEの商標または登録商標です。
Microsoft Azure、 またはその他のマイクロソフト製品の名称および製品名は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
【企業情報】
高砂熱学工業株式会社
所在地:東京都新宿区新宿6丁目27番30号
設立:1923年11月16日
資本金:131億3,400万円
従業員数:2,131名(単体、2022年3月末現在)
【企業プロフィール】
1923年創業以来、空調設備工事の設計・施工を中心に、人にやさしい快適空間の創出、高度に管理された生産工程環境の構築、AIを活用した設備の最適な運転や省エネのコンサルティングなど、建物ライフサイクル全般にわたってのトータルなサービスを日本全域・中国・東南アジア・インド・メキシコで展開。国内の著名な物件の施工を手掛け、業界トップクラスの実績を持つ。心地よい環境を創造する「環境クリエイターⓇ」として脱炭素・サステナブル社会の実現に寄与する技術・サービスの創出に取り組んでいる。