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Vopakは、ERPベンダーロックインを回避して俊敏性を4倍向上

4倍 俊敏性を向上
50人 OutSystems開発者
24時間体制 リアルタイムでターミナル情報を取得
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JD EdwardsのERPシステムをリプレースする必要に迫られたVopakは、いくつかの代替案を検討しました。しかし、どの代替案にも問題がありました。イノベーションや拡張にあまり適しておらず、市場リリースのスピードも遅いものばかりだったのです。

そこで、レガシー脱却を進めるための手段として、2015年にOutSystemsを導入しました。OutSystemsで開発した新しいターミナル管理システムを、最小限のカスタマイズで済む既製のSaaSパッケージと組み合わせて使用することで、顧客主導型のイノベーションを迅速に行い、Vopakは他社との差別化を図れるようになりました。

  • カスタマーエクスペリエンスの向上
  • デジタルコアシステム
  • フィールドサービスの最適化
  • レガシーモダナイゼーション
  • モバイルアプリケーション
  • 業務効率の向上
  • Webアプリ/ポータル
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「OutSystemsを使用することで、カスタムアプリケーションを開発し、それをPaaSとしてビジネスに取り込み、驚きの速さで変更を実装できるようになりました。これにより当社はコアプロセスを変革し、他社を大きく引き離すことができました」

Leo Brand氏 Vopak CIO
課題

ERPのリプレースにあたって内製と調達で揺れる

Vopakは世界最大手のタンクターミナル独立事業者であり、化学薬品、バイオ燃料、植物油などのバルク液体製品/ガスの安全、清潔かつ効率的な貯蔵の分野で400年以上の実績を誇ります。同社は、世界のエネルギー・原料システムの変化に対応する重要なインフラソリューションを開発しながら、同時にデジタル化とイノベーションにも投資しています。

2014年末、OracleはJD EdwardsのERPシステムのサポートを2024年に終了すると発表しました。これに伴い、Vopakは重要な判断を迫られることになりました。IT戦略を再考する必要が発生したのです。

leo brand

「OutSystemsは市場で最も成熟しているソリューションであり、ロールアウトシナリオも豊富です。当社はAWSにデプロイし、一部ではオンプレミスにもデプロイしました」

Leo Brand氏 Vopak CIO

「2つの既製システムをテストしました」とVopakのソフトウェア開発担当ディレクターであるWim Gerholt氏は言います。「しかし、パッケージソフトウェアは制限が多すぎるため、すべての要件を満たすことはできないという結論に達しました。当社の競争優位性はお客様の要件にすばやく適応できるという点にあるため、別のアプローチで俊敏性を確保する必要がありました」

そこで、Vopakは巨大なERPシステムを丸ごと別のERPシステムにリプレースするのではなく、混合アプローチを取ることに決めました。「財務や人事などのシステムについては汎用的なSaaSシステムを調達し、ターミナル管理ソリューションについてはアプリケーションプラットフォームをサービスとして使用してカスタム開発することにしました」とGerholt氏は説明します。

プラットフォーム戦略をサポートするためのモダンアプリケーション開発プラットフォームを多数評価した結果、最終的にVopakのビジョンに最適なものとして選ばれたのがOutSystemsでした。

OutSystemsであれば、堅牢で俊敏な開発が可能になり、驚くほど短期間で広範なアプリポートフォリオを刷新することができると考えたのです。

vopak agile and business video
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VopakがOutSystemsを選択した理由:
  • 拡張性、連携、セキュリティ
  • 開発の加速と俊敏性の向上
  • レガシーシステムの刷新
ソリューション

ソフトウェアファクトリーとターミナル管理システムの開発

Vopakのソフトウェアファクトリーの開発: プロジェクトを急発進させたいと考えていたVopakは、まずはOutSystemsのProfessional Serviceを利用して開発を高速化するとともに、社内でOutSystems開発チームを結成してトレーニングを開始しました。

「これまでは、ウォーターフォール型の開発手法を用いていました」とGerholt氏は言います。「変更に時間のかかるERPから高速のビジュアル開発に切り替えるには、OutSystemsを最大限に活用できるようアジャイルを導入する必要がありました」

次の5年間で、Gerholt氏はVopakのOutSystems開発チームをパフォーマンスの高い自立したソフトウェアファクトリーに成長させました。「OutSystemsから開発者を派遣してもらう必要はなくなりました」Gerholt氏は語ります。「当社には約50人のOutSystems開発者がいます。そのうち約60%がコンサルタントで、その多くは長年にわたってよい関係を築いてきたOutSystemsパートナーであるNoesisの出身です」

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開発チームには16のスクラムチームがあり、基本的にはそれぞれに3人のOutSystems上級開発者、1人のスクラムマスター、1人または2人のテスターがいます。ソフトウェアファクトリーには、すべてのスクラムチームにアドバイスを行い、Vopakのエンタープライズアーキテクチャグループとの連絡係を担うシステムアーキテクトもいます。エピックやユーザーストーリーは、ソリューションアーキテクト、ビジネスプロセスアナリスト、テーマの専門家、プロダクトマネージャー、プロダクトオーナーが作成します。

VopakのOutSystemsアプリケーションポートフォリオには40個を超えるアプリケーションが含まれており、そのうち12個はターミナル管理システムに直接関連しています。

wim gerholt

「変更に時間のかかるERPから高速のビジュアル開発に切り替えるには、OutSystemsを最大限に活用できるようアジャイルを導入する必要がありました」

Wim Gerholt氏 Vopak ソフトウェア開発担当ディレクター

Vopakのターミナル管理システムの開発: Vopakのターミナル管理システム(TMS)は、2016年の米国ジョージア州サバンナでの導入を皮切りに、米国西海岸とマレーシアの新しいターミナルにもすぐに展開されていきました。現在はTMSのリリース10の開発中です。これは2021年後半までに世界中の28個のターミナルで稼働する予定です。TMSには以下の3つの主要なモジュールがあります。

  • 契約— 顧客契約を管理します。顧客契約には、どの製品をどこに貯蔵するかが記載され、貯蔵温度、補充間隔、配送手段(タンク貨車、タンク車、パイプラインなど)に関する詳細も含まれます。
  • 注文—注文とは、つまり在庫移動のことです。200万バレルの石油のスーパータンカー配送からタンク車1台での収集まで様々です。
  • 履行— Vopakは、取り扱いに注意を要する750種類以上の製品を扱っています。そのため、注文の履行には手間がかかり、安全への十分な配慮が必要になります。ターミナル作業員はタブレットデバイスを使用して処理手順をすべて確認したうえで、バーコードリーダーや安全指標を用いてタンク、バルブ、パイプのなどの選択項目をチェックしながら製品を発送します。

TMSアーキテクチャでは、マスターデータの多くが上記の3つのモジュールで再利用されています。また、顧客、製品、所在地、工場などのエンティティが標準カタログ化されています「TMS顧客モジュールには必要なものがすべてそろったため、つい先日、独自のCRMを開発することに決めました。レガシーのOracle CRMは間もなく停止されます」とGerholt氏は言います。

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パートナー

Noesis

OutSystemsのデリバリーパートナーであるNoesisは、カナダ、オランダ、ポルトガル、スペイン、米国のオフィスからVopakにサービスを提供しています。

Noesisの詳細
成果

VopakはPaaSとSaaSのソーシング戦略によって4倍の速さで変革を実現

OutSystemsを導入してから6年が経過した現在、Vopakでのイノベーションはかつてないほど迅速になっています。システム面では、Vopakの顧客にとって差別化要因となるものはTMSがすべて実現しています。構成が複雑で変更しにくいERPシステムではなく、最小限のカスタマイズを加えたOracle Cloud FinancialsやWorkday HRを利用していることもプラスに働いています。

内製と調達を組み合わせことで、Vopakは両者の長所を生かすことに成功したのです。Gerholt氏は次のように語っています。

「OutSystemsでイノベーションをすばやく実現して、差別化されたエクスペリエンスをお客様に提供することができています。ターミナル作業員も、専用の便利なモバイル対応アプリを利用できるようになりました。一方で、財務や人事などの標準機能についてはごく一般的なSaaS製品を利用しています。既製品として調達できるのであれば、開発に時間をかけたくないからです」

Wim Gerholt氏 Vopak ソフトウェア開発担当ディレクター

複雑な構成のERPを抱えていた頃に比べて、Vopakの俊敏性は4倍向上しています。「以前は4か月かかっていたような変更を、今では1か月以内で実装できるようになりました」とGerholt氏は説明します。

Vopakの革新的なTMSには、各顧客がタンク、製品、在庫移動に関する重要な詳細情報を確認できる「My Vopak」カスタマーポータルが含まれています。特に、IoTを活用した温度監視は、一部の石油製品や化学製品の結晶化を防ぐうえで不可欠です。

「このポータルについて、お客様からたくさんのお褒めの言葉をいただきました。NPSスコアも上昇しました」Gerholt氏はこのように話しています。

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Vopakのターミナル作業員は、紙ベースの作業指示書の代わりにモバイルデバイスを携帯するようになりました。「安全対策の遵守を最重要視しています」とGerholt氏は語ります。「タブレットアプリでタンク、バルブ、ホースのバーコードをスキャンすると、重要な安全手順が表示されます。これにより、流出など安全上の問題が生じる可能性がはるかに低くなります」

さらに、紙ベースの作業やデータ入力がなくなるため、ターミナル作業員がコンプライアンス関連のタスクを完了するまでの所要時間が半減します。タンク車の停車時間が減ることから、このことは顧客のメリットにもなります。

ターミナル全体でモバイルデバイスを使用することにより、TMSのデータの品質と適時性が保証され、Vopakのデジタル化の目標達成が近づいてきました。「リアルタイムの信頼できるデータがあることで、様々なプロセス改善やイノベーションが可能になります」とGerholt氏は言います。イノベーションの具体例としては、AI/MLを活用した予測保守、クライアント向けの新しいビジネスモデルやサービス、輸送事業者向けのロジスティクス効率化などがあります。

「これから同じ道をたどろうとしている人がいたら、こうアドバイスします。『すべてが想定以上に速くなるので心構えをしてください』と。ビジネスアナリストを増やしてバックログを補充しないと、開発者の手元に開発対象のストーリーがなくなってしまいます。また、週や月に1回ではなく毎日フィードバックが上がってくるので、ビジネス関係者ももっと対応力を高めていく必要があるでしょう」

Wim Gerholt氏 Vopak ソフトウェア開発担当ディレクター

VopakはBonCodeと協力して開発のスピードと品質を客観的に測定

OutSystemsでターミナル管理システムを開発するようになってから数年経過したことを受け、Vopakは品質管理の観点から製品を評価することにしました。同社は、ISO 25010に基づく標準ベースのアプローチを使用し、独立した客観的な評価を行いたいと考えました。そこでVopakが選んだのがBonCodeでした。BonCodeがVopakに提供した保守性と生産性に関するインサイトの詳細については、こちらの関連ケーススタディをご覧ください。

BonCode

パートナー
BonCode

OutSystemsのテクノロジーパートナーであるBonCodeは、自動コード解析を利用して技術的負債を最小限にできるようVopakを支援しています。

BonCodeの詳細

  • 俊敏性が4倍向上し、新機能をより早く市場にリリースできるようになったことで、競争優位性を確保できました。
  • ポータルやAPI連携でリアルタイムの情報を活用することで、カスタマーエクスペリエンスが向上しました。
  • ターミナル作業員向けのモバイル対応アプリを開発することで、紙ベースの非効率なプロセスがなくなりました。
  • アジャイルIT開発を推進することで、顧客への価値提供にかける時間を増やし、保守に要する時間を短縮することができました。
  • 変更に時間のかかるERPに縛られることなく、自由にイノベーションを進めています。