現在のITにおける2つの重要課題
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モバイルはITのすべてを変えました。これは誇張ではなく、事実です。ジェネレーションXとミレニアム世代によってモバイルが普及した今、企業がビジネスの継続と市場シェアの維持を望むのであれば、ITにおける2つの重要課題に対処する必要があります。
これらの課題を克服しようとした結果、「バイモーダルIT」と呼ばれるアプローチが生まれました。しかし、本当にバイモーダルITで解決できるのでしょうか。
課題1. デジタルトランスフォーメーション
特徴的なユーザーインターフェイスを持つスマートフォン、タブレット、ウェアラブル、センサーといったデバイスは、各企業の顧客、パートナー、社員との関わり方を変えました。顧客やユーザーを引きつけ、つなぎとめておくには、アジャイルなデジタル企業に変革することが求められます。アプリケーションは、あらゆる種類のデバイスやインターフェイスでシームレスなデジタルエンゲージメントを実現するうえで必要です。アプリケーションを利用することで、エンドユーザーは任意の手段でリサーチ、やりとり、購入を行い、サポートを受けられるようになります。こうした多様なエンゲージメントを可能にすることで、企業は顧客のオンボーディングを加速させ、新規顧客を開拓し、カスタマーロイヤリティを高めることができるのです。
従来のアプリケーション開発では、アプリの作成が完了しても簡単にはすべてのデバイスにデプロイできませんでした。しかしモバイルの普及によって、こうした開発が大きな問題になってきています。今や2つの世代のユーザーと消費者が、仕事、人との交流、遊び、ひいては生活にモバイルを活用しているのです。そのため、あらゆるアプリケーションに次のようなことが期待されています。
- 優れたユーザーエクスペリエンス
- ユーザーが気づかないほどのシームレスな変更
- FacebookやTwitterのような使い勝手
各企業では、開発者を追加し、開発言語を習得し、開発チームと運用チームを連携させ、開発・デリバリープロセスを自動化するなど、様々な試みが行われました。しかしどの試みも、モバイルアプリや、モバイルアプリのようなWebアプリに対するユーザーの要求に応えられていないのが現状です。
課題2. デリバリーと変更サイクルの短縮
昨今のユーザーは、ごく短期間でアプリケーションがデリバリーされることを望んでいます。ミレニアル世代はビジネスや会社において、立場が高まりつつあります。この世代は、Javaや.NETなどの従来型のテクノロジーでアプリケーション開発に要する2年もの間、プロジェクトの完了を待つことはないでしょう。新しいアプリが20週間足らずで作成され、変更がすぐに適用されることを望んでいるのです。こうした期待の背景には、2012年にAmazonが新しいコードを11秒ごとにデプロイし、1時間に最大1,079のデプロイを記録したことがあります。その結果、組織とIT業界は、このような極めて短いデリバリーサイクルを求める声に応える方法を模索することになったのです。
バイモーダルITは解決策となるか
Gartnerが「バイモーダルIT」と呼ぶITの新たな展望では、IT組織は従来型(モード1)とアジャイル型(モード2)の2つのモードで業務を遂行するべきだとされています。このバイモーダルにおいて、モード1のアプリケーションは比較的静的です。変更にあたっては、従来の方法で修正を行います。モード2のアプリケーション要件は、より俊敏なイテレーション型の開発モデルに分類され、革新的な新しいツールや概念が使用されます。
大規模なコンサルティング会社は、バイモーダルITをベースに新たなデジタルプラクティスを策定しています。こうしたプラクティスは、フロントエンドからバックエンドに至るまでのデジタルエクスペリエンスの再設計を行う企業の支援に重点を置いています。実際、こうした企業はデザイン会社を買収し、ユーザーエクスペリエンスに関わるスキルの獲得を加速させているのです。一方で、自社の社員にAngular JSやNode JSなどのテクノロジーを習得させるための投資も行っています。
多くの場合、こうした企業は、Angular JS、Node JS、Mongo DB、RESTなどのテクノロジーを使用したオープンソースアプローチが採用してエンタープライズソリューション全体を開発し、優れたユーザーエクスペリエンスを提供しています。これにより、最初のバージョンをデリバリーするまでの目標期間を20週間に短縮することができます。しかし、これには経験豊富な優れた開発者が必要になります。バイモーダルITに関する懸念は尽きません。コンサルタントがいなくなった後、どのようにしてアプリを運用すればよいでしょうか。アプリを変更するスキルを有する開発者はいるでしょうか。
たとえば、20~50個のアプリを運用している会社があったとしましょう。これらのアプリは、4種類のプラットフォームと3種類のフォームファクタに対応する必要があります。こうした状況に加え、業務のサイロ化、アプリの運用に必要となるスキルの増加、さらにはモバイルの存在があいまって事態はより過酷なものになります。モバイルでは、絶え間ない変更とさらなるデリバリーの加速が求められます。 ビジネスにおいて数時間での変更が要求されるのは珍しいことではありません。
このように独自のスキルセットが求められる中で、条件を満たす開発者を見つけることは難しくなってきます。たとえ確保できたとしても、そうした開発者は引く手あまたで、すぐに辞めてしまう傾向にあります。
バイモーダルITは、確かにバックエンドや従来型のシステムからアジャイル開発を解放しますが、継続的に実践するには注意が必要です。しかし、プラットフォーム間を移動することなく、モード1とモード2の両方を実行できるプラットフォームがあれば、この問題は解決できます。そこで大きな役割を果たすのがOutSystemsです。