ユーザー事例
三菱UFJフィナンシャル・グループ

BHC法対応業務のシステム化と ユーザーによる自走体制の構築に挑む

金融/銀行
業務アプリケーション開発
行内システム
法令順守
BHC法
アジア太平洋

国内最大級の総合金融グループとしてグローバルにビジネスを展開する三菱UFJフィナンシャル・グループが、OutSystemsを採用し「BHC法(米国銀行持株会社法)」対応業務を支える新システムを構築した。ビジュアルモデリングを駆使した短期間での開発、実装反復による継続的改善、そして担当部署であるBHC法対応企画室メンバーによる内製化の推進にOutSystemsが貢献している。アビームコンサルティング株式会社が本プロジェクトを全面的にサポートした。

50%削減

新システム開発期間の短縮

数万社

対象となる出資先企業数

90%削減

議決権比率の計算時間

課題

多くのグループ会社による、数万社の出資先の情報を統合

三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)の融資企画部は、グループCRO(Chief Risk Officer)のもと、MUFGグループの信用リスク管理をグローバルで統括する組織である。与信制度や信用格付制度の設計・運用、国内外の金融規制対応や信用リスク管理などを通じて、MUFGの経営基盤を支える役割を担っている。

MUFGは世界中に数万という規模で様々な事業法人やファンドに投資しているが、米国で銀行業務を営む金融機関による事業法人やファンドへの出資・資本参加は米国銀行持株会社法(the Bank Holding Company Act of 1956。以下、BHC法)による規制の対象となる。2021年に融資企画部内に設置されたBHC法対応企画室のミッションは、出資案件のゲートキーパーとして、BHC法関連規制(銀行による自己資金での投機的な売買を制限するボルカー・ルール対応を含む)への適合性を確認すること、米連邦準備制度理事会(FRB)に対する「年次報告(FR Y-7)」に欠かせない出資情報を確認・検証すること等である。

BHC法上のMUFGグループ会社において、出資先として管理が必要な事業法人やファンドは数万社に及ぶ。BHC法対応企画室は、わずか十数名の体制で、これらが統合された膨大な数を対象に、事業法人・ファンド情報、自社グループによる保有議決権数や議決権比率などの出資情報を最新の状態で管理しなければならない。

山本 晃祥 氏
「2021年のBHC法対応企画室立ち上げ以来、投資所管部署から出資情報を収集し、BHC法対応に必要なデータ項目や議決権比率計算ロジック、確認プロセスの整理を進めてきました。システム化に先立つ段階では、業務要件やデータ構造を具体化するため、ExcelやAccessも活用しながらプロトタイプ的に運用を重ね、年次報告業務への対応を行ってきました。しかし、対象データが数万規模に及び、手作業や目視での確認を伴う運用には限界があったため、本格的なシステム化によって、より堅牢で再現性・信頼性の高い業務基盤を確立することが急務でした」
山本 晃祥 氏
山本 晃祥 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 次長

2024年4月、BHC法対応企画室はOutSystemsを採用し、BHC法対応業務を支える新システムの構築に着手した。山本氏をマネージャーとする本プロジェクトをサポートしたのは、OutSystemsによる豊富な開発の経験・知見を持つアビームコンサルティングである。

ソリューション

継続的な改善の「内製化」を可能に

OutSystemsの強みは、複雑なビジネスロジックや業務フローを、ビジュアルモデリングにより直感的にアプリケーション化できる優れた機能性にある。プロジェクトチームは、新システムを使用し、2025年7月に提出する年次報告(FR Y-7)への対応開始を目標としてタイムラインを設定した。プロジェクトをリードした融資企画部 BHC法対応企画室 調査役 森川克真氏は「ローコード開発プラットフォームによる開発期間の短縮は必須ですが、もうひとつ重要な要件がありました」と話し、次のように続けた。

森川 克真 氏
「ブラックボックス化の解消と『内製化』の実現です。OutSystemsを採用し、新システムの継続的な改善やメンテナンスをBHC法対応企画室メンバーが行えるようにすることで、制度変更などの新たな要件を含め、予測の難しい変化に素早く対応できるようにしたいと考えました」
森川 克真 氏
森川 克真 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 調査役

山本氏・森川氏らは、これまでの経験から「システムは構築後の継続的な改善こそが重要」と考えていた。たとえば、新システムに登録するデータは多くのグループ会社・部署に提出を依頼しているが、その書式や項目は法令順守対応や効率性・品質向上のために常に見直していく必要がある。システムの機能が固定化されてしまうと環境の変化やユーザーとしてのニーズに応えられない。

森川 克真 氏
「ローコードツールとしてのOutSystemsは、処理ロジックとフローをビジュアルで容易に把握できるメリットに加え、BHC法対応業務に求められる複雑な機能やワークフローを実装できます。そのため、 OutSystemsであれば当室が目指す開発を実現できそうだと感じ、高く評価しました。PoCを通じて、業務を知る私たち自身がシステムの開発・改修・改善まで行える確証を得られたことが何より重要です。さらに、OutSystemsとABeam OSFを組み合せることで、より効率的かつ簡単に開発ができると期待しました」
森川 克真 氏
森川 克真 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 調査役

アビームコンサルティングが開発したABeam OSF(OutSystems Framework)には、同社のOutSystemsによる大規模開発の経験・知見が注ぎ込まれた機能パーツやテンプレートが豊富に用意されている。ABeam OSFはローコード開発をさらに高速化するとともに、開発の標準化と均質化に貢献した結果、開発知見のない業務部門の行員が開発に参画するなど本プロジェクトでも大きな威力を発揮した。

成果

短期間での開発、実装反復による継続的改善

数万行に及ぶ巨大なExcelシートとAccessが支えてきた業務フローは、OutSystemsで開発された新たな「MUFG BHC法プラットフォーム(新システム)」に置き換えられた。プロジェクトの初期段階より、BHC法対応企画室のメンバーにアビームコンサルティングを交えて「業務フローやデータ構造のあるべき姿」が徹底的に議論されたという。

山本 晃祥 氏
「出資情報の収集から、新システムへの登録、議決権比率計算、レポート出力に至るBHC法対応業務の流れを整え、手作業や目視確認が必要だった領域をシステム化することで、報告内容の正確性を確保しながら業務効率を向上させることを目指しました。新システムの構築は単に道具を新しくすることではありません。業務の高度化に結びつけてこそ、システム化の本来の意義があると考えています」
山本 晃祥 氏
山本 晃祥 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 次長

プロジェクトは、OutSystemsとABeam OSFにより短期間でプロトタイプを開発し、画面や動作を確認しながら完成度を高めていく「実装反復」(実装と改善を繰り返す開発手法)を採用した。このアジャイル型アプローチは、ユーザー部門が主導するシステム開発において特に有効だった。

森川 克真 氏
「実際の業務がシステムフローとして可視化され、これを共有することで関係者間のコミュニケーションが円滑に進みました。プロジェクトでは、UATなどの開発終期に大きな手戻りを発生させることなく複雑な業務要件を着実にシステム化していくことができました」
森川 克真 氏
森川 克真 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 調査役

新システムでは、登録・計算・出力まで業務プロセス全体に使いやすいユーザー画面が提供され、これまで問題視されてきた非効率な業務の多くが解消された。

「たとえば、アップロードしたデータの整合性を新システムがチェックすることで、データクレンジングに要していた手間を大幅に低減できました。また、普通株式やA種株式など複数の株式種類を発行している出資先では、『証券クラス』ごとに議決権の有無や算定方法が異なるため、クラス別の保有状況や議決権数の考え方を踏まえて、データを正しく構築することが不可欠です。こうしたBHC法上の解釈を反映したデータ管理と議決権比率計算を新システム上で実現し、米当局宛の年次報告での報告対象となり得る5%超の議決権を持つ出資先を速やかに洗い出せるようになったことも重要な成果です」
田中 玲香 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 エキスパート

新システムは、2025年7月の年次報告(FR Y-7)に向けて本番環境として利用が開始された。MUFGクラウド上に構築されたシステムは優れた性能を発揮し、数時間を要していた議決権比率計算を10分程度にまで短縮させた。

森川 克真 氏
「新システムの開発にOutSystemsを採用したことで、短期間で高品質なシステムを構築でき、年次報告にかかる業務は大幅に効率化されました。開発段階の『実装反復』を通じて、私たち自身がOutSystemsを扱うスキルを高められたことも大きいですね。ユーザー部署が自らシステムの保守・メンテナンスで主導的な役割を担う『内製化』という目標も着実に達成に近づいています」
森川 克真 氏
森川 克真 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 調査役

新システムによる業務効率化は最大で30%に達したという。今後の展開を見据えつつ山本氏は次のように結んだ。

山本 晃祥 氏
「BHC法対応業務のシステム化によって私たちの業務負荷が軽減されたことは大事な成果ですが、余力が生まれたことで出資情報のより深い分析が可能になるなど、業務の高度化の手応えを得られたことはさらに重要です。私たちは予算と時間をかけてOutSystemsによるシステム開発と内製化に取り組んできました。この投資の意義をさらに高めるためにも、私たちが身につけたスキルを活かし、ベンダーの知見や支援も取り入れながら、当室が主体となって業務改善や機能拡張を継続的に進められる態勢を築いていきたいと考えています」
山本 晃祥 氏
山本 晃祥 氏
融資企画部 BHC法対応企画室 次長

【企業情報】

株式会社 三菱UFJフィナンシャル・グループ
所在地:東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
創立:2001年4月2日
資本金:23兆7,441億円(2026年3月31日現在)
従業員数:161,576人(連結、2026年3月31日現在)

三菱UFJフィナンシャル・グループは、国内最大級の総合金融グループとして、銀行・信託・証券・カード・資産運用など幅広い事業を展開している。日本の金融システムを支える中核的存在であるとともに、米国・欧州・アジアを含むグローバルネットワークを構築し、日本企業の海外展開や国際金融市場においても大きな役割を担っている。

https://www.mufg.jp

株式会社 三菱UFJフィナンシャル・グループ

東京都千代田区
161,576人(連結、2026年3月31日現在)
戦略的目標

•   デジタルエクスペリエンスのカスタマイズ
•   アジャイル文化
•   自動化と効率化

アプリケーション種別

•   エクスペリエンス
•   効率化

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